たいとる : 『脈絡もないがつまりはそういうことだ』
ながさ :短い×15-18
どんなおはなし :小ネタ集。 原書『BLACKEST NIGHT』後〜『BATMAN : THE RETURN OF BRUCE WAYNE』あたり。
                  今日も原書を読んだことのない方には意味が伝わらない不親切設計!
                  本物のブルースは死んだんじゃなくて、迷子になってるだけだよ。 のあたり。


*突然ですが、ためにならないキャラクター紹介*

・バルバトス: ゴッサムの先住民族に先史時代から崇められていた神。 半人身・半蝙蝠。
         日蝕の起きる日なら意外と気前良く召喚される。
         永遠の命を約束したり、世界に終焉をもたらしたりする。

・ティム: 良く出来た三男。 うちのパパ↑知りませんか。

・ディックとジェイソン: 最近不思議とディックの背が伸びてる気がする。



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15.once upon a time
[THE RETURN OF BRUCE WAYNE 世界の始まりの人類]




世界に文字が生まれるよりもずっと昔
人の手に天の火が授けられてしばらく

豊饒の大地に暮らしていた部族を、幾度も災いが襲った
人々は、その地に留まって血脈を絶やすよりも
生まれ故郷を離れることを選んだ
ある者は西の平原に、ある者は東の海に
別れ別れになり、新たな世界を求めて旅立った
彼らは、しかし、道標を残した
時を超え、いつか必ず帰る、彼らの "神"のために

それは遠い古の物語





今、沙漠の丘には青い月。
風は吹きぬけて、ごろんと死体のようなもの 三つ四つ。
ティムは、横になったまま、考える。
いつぬかるみにつまずいたのか どこもかしこもびしゃびしゃだ
それに、凍えそうに寒い
暗い夜だ
と、ぼんやり思いながら。
刃を捻じ込まれ、切り裂かれた腹をおさえる。
溢れて流れ、どこもかしこもびしゃびしゃだ





遠い古の物語の
"神"の民は、その証をたずさえ、何世代も流離った
部族の一派は、沈む太陽を追い、平原を、大峡谷を渡り
海峡も越えてユーラシア大陸に、そしてさらに西へ、西へ
いつか必ず "彼"は帰るのだと信じ、彼のために道標を残して
それからざっと、40000年




失血の、おぼろな意識はゆらゆらと
中天に月は冴え、少年のよろめく影を砂に落とし
また 歩き出す。
"彼"が、どこかでまだ、待っているから。









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FINAL CRISISの終了時から、ブルース様はある意味ずっとゴッサムにいたわけですが。
でもティムが蝙蝠の壁画を見つけたのは、イラクで。
大陸も違うんですけど、なーんーでー。
に対する答えをどこかで読んだような読まなかったような。













16.おにいちゃんとおとうと
[ 『BATMAN&ROBIN : BATMAN VS. ROBIN』 その後 
 ムショ的なとこに収容された次男の様子を見に来た長男 ]




「……てめェ、ダッセェ偽名だと思ったら、おまえのどこが弁護士だ!」
「似合う? おしゃれメガネにしてみました」
「うさんくさい。 詐欺師にしか見えない」
「そうかなー」
「帰れ。 そのふざけたツラ見てると潰したくなる」
「まあまあ、せっかくお兄ちゃんが獄中で寂しー思いしてる弟の顔を見に来たんだから」
「兄貴ヅラすんな気色悪ぃ」
「そうやって取り調べにも"非協力的"だから10分しか時間取れなかったんだぞ」
「さっさと帰れッ 話すことなんか何も無い」
「きっと、おまえも知りたいと思ってさ」
「……何の話だ」
「おまえ、前に俺に言ったろ? なんであの人を "こちら側"に連れ戻さないのか」
「やっと、その気になりやがったか」
「俺、失敗しちゃった」
「……は?」
「大失敗☆」
「こ のッ 役立たずの腐れ×××野郎! 死ね! 今すぐ死ね !!
 俺が一番信じられねェのはッ あの人が死んだのに、てめェが平然と生きてることだ!」


ロビンは、バットマンの "パートナー"。
世界を救うその時すら、まるで面白くもなさそうな顔をする彼の、たった一人の相棒。
けれど、ボーイワンダーになる条件は、一つだけ。
それは、黒髪碧眼の美少年でも、
フェアリーブーツの似合う綺麗な両脚でもなくて。

バットマンを信じることだ。
彼に信じられているのだと、信じることだ。


「あの人、死んでなかった」

一瞬言葉を失った容疑者Aの表情を、エセ弁護士は大いに楽しむ。

「……それじゃあ、」
「ティムに感謝しろ。 最後まであの人を信じたのは、あいつだ」
「ブルースは、」
「どこかで生きてる」

仕切られた "こちら "と"向こう側"。
かつてのボーイワンダー二人。
奇妙な鏡と鏡のように。
笑う。



「んじゃ、また後でな」






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「BLACKEST KNIGHT」 パパの遺骨をラザルス・ピットに突っ込んでみました事件後、
こんなやりとりあればいいね、という。

ディックとジェイは、今でも二人だけで会うと流れでゴハンでも食べに行けばいい。
でも、同じぐらいの確率で殺し合いに発展。













17.魔女と悪霊
[THE RETURN OF BRUCE WAYNE 迷子が二人、森の中で出会った]





今や誰の頭上にも鐘は鳴る。
おそろしい雷のように打ちひしぐ。
大空は悲鳴を上げ、やがて凍りつく。

 (清廉の木立に光は溢れ、)
 (黄金の森に光溢れ、)

煉獄の業火を巻き上げて迫る蹄の音を聴け。
あるいは、怯える愚者を踏み潰す無情の鉄踵。

 (流離の人よ、抱きとめる胸の優しさを知れ。)
 (魔物が棲むと忌まれた森で、二人静かに、)

彼に名は無く、
彼に顔は無く、
沈黙は、呪われし者の憤怒。
今や誰の墓標の上にも怒りの御使いは鐘を轟かす。

 (木々には瑠璃の、翡翠の、玻璃の羽、)
 (命を歌う数多の小鳥は、今や愁いの遠い季節。)

彼は亡霊の騎士。
何者もその行方を追えず、
何者も立ち塞がることは出来ず、
黒い羽音は、狂気と、悲歎と、破滅を、冷霧のように引き連れて。
今や、終焉を告げる時。

彼の突き進む先に呪いあれ。
彼の帰りを待つ者に呪いあれ。
天上の、地上の、あらゆる者に呪いあれ。

この世の始まりの、
赤い月の屠殺場で、
神は、そう宣うた。


 (憂愁と寂しさを脱ぎ去り、)
 (孤児と孤児の、心重ねて、)
 (二人、時の果てるその日まで。)








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イメージ映像でお送りしております『BATMAN : THE RETURN OF BRUCE WAYNE』
あ、映像じゃないや。
RoBWを読むなら『BATMAN : TIME AND THE BATMAN』も合わせてどうぞ。
魔女が誰かは良いとして、悪霊はブルース様です。
すごく間違いでも な い 気 が す る 。














18.だから 最初から何度も言ってるでしょ!
[THE RETURN OF BRUCE WAYNE いい加減キレそう、男の子だもん。]





たった一人が消えただけで、世界というものは、そのバランスを失うらしく。
みんな、ああだこうだと好き勝手なコトばかり言う。


『……ごめんよ、ティム』

間に合わなかったなんて、謝らないでよ、ボーイスカウト。
あなただけは、それを信じないで。
あの人にとって、あなたは "特別 "なんだ。
だから、あの人に限って、それは無いって、全部間違いだって、言ってよ。
あの人は

ゴッサムの墓地に埋められたのは、あの人じゃない。
その死体は、本物じゃない。


(カワイソウナ子)
(彼ガモウイナイノダト信ジタクナイカラ、アンナコトヲ)


黙れよ。 聞きたくない。
誰が何を言っても僕はそんなこと信じない。
ばちっと、火花が弾けた、脳内。
"あれ"を見た瞬間に。



『ティム、ごめんなー☆ 贋物つかまされたv』

なんて明るく言った後、
別人みたいに真剣な顔で、ラザルスピットを使ったことを釈明するディックを。
だから言ったのに。 とか、僕の時は止めたくせに。
と、イジメなかったのは。
僕が、この確信犯でド級の人たらしに全く弱い、というのもあるが。
だって、分かるじゃないか。
ディックがどんな気持ちで、あの死体を、ピットに入れたのか。

あの人のいない世界で、僕等が "まとも"でいられるはずが、ない。
ありとあらゆる手段を使ってでも、僕等は、あの人を取り返す。


キチガイになるスイッチが、ばちっと 火花を上げた、脳内。
屋敷で "あれ"に気づいた瞬間に。
僕は、その"事実"を、立証しなければならなくなった。
そこらのティーンよりは論理的だったはずが、あーあ。

(カワイソウニ)
(何モカモ失ッテ、彼モイナクナッタ)

たった一枚の肖像画。 何の証拠にもならない。
誰も僕を助けてくれない。
捜査範囲はたかだか40000年の歴史。
僕に不可能だと思うなよ。

それなのに、何もかも、僕の邪魔ばかりして。

腹が立ったから。
自分を世界の指導者だと勘違いしてる誇大妄想狂のボケ老人の巣を
全部吹っ飛ばしてやった。
ちょっと、爽快だった。



それで、彼が生きている証拠をやっと確保して。
意気揚々と家に帰ってみたら。
呼ばれた先は、ジャスティスリーグ。

『婉曲な表現はしない。 時間が無いのでね。
 私は、君の望みを叶えるために、姿を現したわけではないよ。
 私は "時"を観察し、その歪みを排除する者だ。 ティム・ドレイク』

出てきたよ、"スペシャリスト"。
(いきなり話がコズミック!)

『君が気づいたとおり、彼は過去に飛ばされた。
 そして今、歴史の中を跳躍しながら、この"現在"を目指している。
 もう間もなく、その瞬間は訪れる。 彼は再び、君達の前に現れる。
 しかし、その瞬間を爆心地にし、過去・現在・未来のあらゆる時間は、崩落するだろう。
 そうなる前に、私はバットマンを止めねばならない』

誰か、何か。
言ってくれないか、期待したけれど。
このリップ・ハンター博士は、どうにもならないぐらい、本物で。

『この "時代"は、特別だ。
 過去と未来は、この一点から生成され、無限の振動を奏でる。
 だからこそ、この時代を狙って破壊するよう、"それ"は放たれた。
 ……ここに現れようとしているのは、君の知っている人ではないかもしれないよ。
 彼は "神"を殺して、呪われた』


そして、博士は。
スーパーマンとグリーンランタンを伴って、時間の彼方に消えた。
(クラークは良いとして、ハル・ジョーダン!)
(何と戦うつもりなんだ、この人達は。)

物分りが良いと定評のある僕は、その後ろ姿を見送りながら、
爆発しろと願うこともなく。


だって、誰も皆、何も理解してない。
彼は、"バットマン"だ。


当たり前みたいな顔して、世界を救ってみせてよ。 ブルース。









鐘が鳴る。

鐘が鳴る。

世界の終わりの鐘が鳴り、その瞬間が訪れる。
バランスを失った時空が、木っ端微塵に瓦解する。
虚無の嵐が押し寄せる中、(ほら、誰も彼も、あの人の掌で踊る。)
その最後。
心臓と、呼吸とが、止まった。
声が遠く聞こえた。

"これは、彼の代償 "








僕は、嵐に向かって
もう一度叫ぶ。





「僕のブルースが、こんなところで死ぬわけないだろッ!」



















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そんな台詞、原書に無ェですマジ。
実際は、三男はパパの起こし方をとても良く心得ていた。

蝙蝠のことを、「この人は僕のものです。」と公言して良いのは、駒鳥だけだと思うんですよ。
ティムはこの時、赤が付きますけどね。
パパをお家に連れて帰るまでが仕事です。

えーと、リップ・ハンターは博士じゃなかったかもしれない。
どちらにしても、あんまり博士に見えない。
あと、過去未来現在うんぬんの部分、原書と違ってます。
ところで、わざと書きませんでしたけど、ちゃんとブースターも一緒に来てた。
で、「あいつあんなコト言ってるけど、ちゃんと無事にブルースを連れて帰るよ!」
とかティムに言ってくれるはず。
で、ティムはそれを話半分ぐらいに聞き流していると。
マイケルが実は出来る子だって知ってる人、少ないのよね。
蝙蝠がその数少ない中の一人だもんね。

ティムは別に、おハルさんに対して悪い感情はそんなにないのです。
というか個人的に知らない。
けどパパから、GLが出てくるような事態はろくなもんじゃないから、
関わっちゃいけないよ、特におハルは最悪、と教育されてる。
パパは基本的にティムに過保護。
ティムもパパに過保護。
しあわせ。
GL:REBIRTHでパパを殴った件は、ちょっと根に持ってる。
でもパパより大人だから、簡単には表に出さない。
そんな良く出来た三男。




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