たいとる : 『デートとか行かない二人の話』
ながさ :ほどほど
どんなお話 :FOREVER EVILにちっともおハルさんが出てこないから、その後で良いから地球に遊びに来ればいいじゃない。
FE中のことが後半で少々絡んでます。ので、五月の状況如何によって下ろします。(現在2014年四月、FEは#6まで出てます。)
ちゅうい :GL/蝙蝠だよ。
良い子の18歳未満は読んじゃダメだ。
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ハルの人生が滅茶苦茶であることなど今に始まったことでない。
グレイブズの一件でジャスティスリーグを抜けた後も、その傾向はむしろ加速し、
坂道を転げ落ちる石は急カーブから勢いよく崖へ飛び出した、だけでなく、
物理法則を完全に無視して異次元へと奇天烈な跳躍を遂げてしまった。
生生世世、一切流転。
星々の海に、ぷかりと漂流。
そして、全グリーンランタンがその秩序を守るために命を賭す宇宙もまた、
今日は昨日以上に厄介事ばかり取り散らかり、明日は明日で酷いのだろう。
しかし。
バットマンが、ハルに何か用がありそうだった。
と、地球からの定期連絡の中で至極何気なく言われ、
彼は、数十億光年彼方のバズに向かって思わず、「は?」と聞き返した。
バットマンといえば。
偏屈な引き籠りのコントロールフリークで、
バカがつくほど事件解決にしか興味がなく、おまけに重度のパラノイド。
やる事なす事ことごとく、ハルとは真逆を行く。
その愛想もクソもない顔を拝んだのは、グレイブズの事件が最後。
以降、ハルはジャスティスリーグに関わっておらず、今どういう状況なのかも具体的には知らないが、
バットマンがハルを呼ぶのなら、それなりの事情があるのだろう。
という理屈が伴ったのは、通信を終わらせた後だった。
しかし実際には、「は?」とバズに問い直した時にはもう、
地球まで行って即帰るとして現状で何時間割けるのか、頭のどこかで考えていた。
10時間、と約束する彼を。
それより、手足が千切れてでも揉め事を起こさず帰ってこい、と
特に訳も聞かず送り出すキロウォグに、ハルは、良い同僚に恵まれたもんだとつくづく思う。
(下手に地球に近づけば“戦争”を引き起こし兼ねないのが、ここ最近の笑えない話の一つ。)
(幸い、ハルは下手でない。)
そして。
澗正載極、無限の虚無を飛び越え、
障害に遭うことなく久し振りにその大気圏を貫通した地球は。
黄昏の臨海都市に、飛行船が浮かんでいた。
ハルにとって、ゴッサムは蝙蝠の街だ。
外部からバットケイブに至る経路はいくつかあるらしいが、彼は一つしか知らない。
郊外に広がるカルスト台地の、無数に点在する天然洞穴に隠された入口。
細い縦穴を下降し、複雑に入り組んだ洞窟を滑空すれば、
目覚めたばかりの小さな蝙蝠達が、突然の侵入者に驚いて飛び惑う。
だが、この迷宮の主は、体長6.2フィートの大きな大きな蝙蝠だ。
縄張り意識と警戒心がとてつもなく強く、そろそろハルの存在も察しているだろう。
あんまりいつも真っ黒で、むつかしそうな不機嫌面をしてるから、
会うたびに、からかわずにいられない。
太古から今に至る、永遠のような静寂が、大地を削って造り上げた巨大な地下世界。
しかし、バットケイブは、吸血鬼のねぐらというより、博物館のような趣がある。
ティラノサウルスをはじめ、随所に主の蒐集分類癖がうかがえるからだろう。
(普段との差が愉快だが、“集める”は男子の基本習性だとも思う。)
コンピュータの前、ホログラムの蒼褪めた光は踊り、
ダークナイトはやはり、何事もなく無愛想。
「俺がいなくて寂しかったろ?」
開口一番言ってやれば、目論見どおり嫌そうな顔をする。
ハルは口の端でにっと笑い、バットマンの眼前に降り立つと両腕を胸の前で組んだ。
「で、用件は。 言っとくけどあんまりのんびりは出来ないからな」
これがジャスティスリーグの案件なら、バットマンは事のあらましから状況分析、取るべき対応まで
一切の無駄を省き淀みなく語り、そして、ハルは最低一度は口をはさみ話の脱線を試みる。
しかし、今日は。
どうしてか、ダークナイトは沈黙している。
漆黒の仮面は表情を浮かべず、無機質な双眸でただハルを眺めていた。
「うん?」
予想と違う反応にハルが首を傾げると、相手は椅子に深く沈みこみ、
バズに聞いたのか。
と、独り言のように呟いた。
黒いグローブの両指が静かに交差し、玉座の主はハルを見上げる。
「用はない」
きっぱりした声が、言い切った。
ハルの頭は一度ゆらんとし、また元に戻り、
「おまえちょっとそれ、カウル、外せ」
ダークナイトは、不思議と素直に従った。
夜闇の怪物の仮面を外してみれば、現れるのは端整な容貌。
やたらカメラ映えの良いどこかの大富豪と同じ、藍色の貴石のような、けれど鋭利に煌く瞳。
その頭を、ハルはぺしんと叩いた。
「それで、何の用だって?」
両腕を組み直し、ハルはもう一度聞く。
ブルースは、ぶたれた拍子に頭を俯け、唸るように不機嫌な声を洩らしたが、
少し乱れた髪を指で梳き流し、眉を顰めて答えた。
「特別、用件はない」
「あのなァ」
数十億光年超をわざわざ飛び越えてやって来たハルは、その声ほど怒ってはいない。
そもそも、バットマンが用もなくハルを呼ぶことなど、絶対に有り得ないと知っている。
しかし、ブルースはじろりとハルを睨み、
「何もない。 ただ、呼べば来るのか、確認しただけだ」
ハルは数瞬、目をぱちぱちさせた。
なんだろう、コイツ。
「……おまえソレ、愛されてるかどうか知りたいとかそういうどーでもいい理由で
真夜中にいきなり男に電話して自分の部屋まで来させるタイプの、めんどくさい女と同じだろ」
ありのまま的確に描写すると、ブルースは冷ややかに、
「それなら、お前はその下らない理由で阿呆のように呼び出された、間抜けな男だな。
愛されていて私は嬉しいよ。 さっさと宇宙に帰れ」
愛嬌などまるでないその顔を、ハルは無遠慮に眺め、
鼻先で笑った。
「ちっとも嬉しそーに見えねェ」
ハルは両腕を解くと、手をブルースの椅子につき、顔と顔を突き合わせた。
ブルースの眼差しが険しくなるが、ハルは、にんまりする。
彼には、親友すら呆れる特異な弱点がある。
それはこの、24/7不眠不休でも犯罪者を追い詰めることを決して止めない、蝙蝠だ。
どんな作用か知らないが、その始終難しいことばかり考え込んでそうな渋面を眺めていると、
妙にうずうずして、どうしても、ちょっかいを出したくなる。
「だいたい、呼び出されて何もせずに帰る男がいるか? 普通」
と、ハルが自分の唇をブルースの唇に押し付けたのは、ほとんど嫌がらせだ。
ブルースが依怙地になっているのが悪いのだし、本気で怒ったらすぐに離れるつもりだった。
たかがキスだ。
しかし、ブルースは。
唇の触れた一瞬、びくっとしたのは驚いたのか、激怒の気配か。
ただそれだけで、藍色の眼は瞬きもしない。
双方、目を見開いて睨み合っているぎこちなさに、ハルは少し離れた。
「あー。 俺、キスしたんですけど」
まさか意味が分からないことはないだろうと、ハルが一応確認すると、
ブルースは片眉を引き上げ、取り澄まして、
「そうか。 存外拙いな」
その唇に噛みついてやろうとしたハルは、手前で止まった。
「可愛くねェ」
心からの言葉である。
ハルは、今度はゆっくりと、唇を重ねた。
かるく、やわらかく、気難しい恋人をなだめる最初のキスのように。
ブルースは不機嫌な顔のまま、けれど、逃げることもない。
そのうちに、小首を傾げ、薄く唇を開いた
あれ? 今なにしてんだっけ?
という疑問は、ハルの脳裏に一度だけ去来した。
だが、ああ、ブルースとキスしてんのか、という答えは、極々当然のように受け入れられた。
だから、口づけが深くなるのは、自然なことだ。
お互いの頭を抱え、貪るように舌を絡め合うことも。
自分のそれとブルースが、ただ快感のためにわずかな隙間もなくもつれ合っている。
彼は純粋に、昂奮した。
いや、それ以上だ。
胸骨の内側、あんまり心臓が騒ぐので、外にも響いてるんじゃないかと身体を少し離すと、
ブルースは、大別すれば、やはり怒ったような表情をしていた。
その頬に、朱が差している。
唇は濡れた薄紅色。
ハルを見上げる瞳は、冴えた宵空に星が燃えるようで、
エロい。
と、率直に思い、元々かもしれないと今更気付いたような気もした。
黒いグローブの腕がハルを掴んで引き戻す。
ハルは今度こそ噛みついた。
いつもなら、ハルは相手をもっと丁重に扱う。
元々彼は、女性に優しくするのが好きだ。
どうせセックスするならお互い楽しめる方が良い、と考えているのだが。
けれど、今日の相手は“いつも”の範疇に全く含まれず、そんな余裕もまるでなかった。
“好き”も“楽しい”も、どこかに飛び去って、帰らない。
切羽詰まった、今この瞬間どうにかしなければならない衝動が、身体の底からしきりに急き立て、
息を整える間もなく、ブルースの唇を塞ぐ。
苛立たしいぐらい、欲情していた。
彼の手はせわしなくブルースの身体を撫で下りる。
ボディスーツの継ぎ目を少しでも見つけて、指を割り込ませたいのだが、
相手は、必要とあらば十字砲火の中へでも飛び込んでいくダークナイトだ。
いったいどこをどうすれば、ハルに素肌をさわらせるのか。
ハルの方はとっくにグリーンランタンの姿が解け、シャツもさっきブルースにひん剥かれた。
グローブを外してもいない手が、脇腹をなぞるように降りていくと、
案の定簡単にジーンズの前を広げ、窮屈になってきたものを掴み出そうとする。
ハルは喉奥で小さく唸り、自分を振り切るように身体を起こした。
「脱げよ」
声は、少し掠れた。
ブルースは彼を見上げ、分かったような分からないような顔で。
ユーティリティベルトに指をかけた。
王様の椅子は。
大きくて、ゆったりして。
多少の無理にも品良く構える質実剛健。
だからハルは、そのままブルースに圧し掛かった、わけでない。
単純に、場所を変えるという発想が、そのために時間を割くという考えが、頭に浮かなかっただけだ。
玉座の主は、ベルトは外したが、あとは結局最小限しかボディスーツのガードを緩めず、
背凭れに身体を沈め、屈曲した姿勢で貫かれているわりに、悪態をつくでもない。
ハルが肩に担いだ片脚は、ブーツのまま。
ためしに、装甲部分が薄そうな膝の内側を舐めてみると、思ったより滑らかで、何の味もしない。
その脚に、きつく口づけする。
肌身に直接触れたのなら、きっと痕が残ったように。
歯を立て、顎に力をいれていく。
ブルースが小さく息を飲む気配がした。
ハルは、ブルースの息が乱れるのを、今日まで見たことがない。
常に厳しく引き結ぶ唇が、小さく開かれたまま、何かを堪えるように、吐息が震えている。
紅潮した顔は、どこか霞がかかったようで、けれど、ハルがぽかんと眺めているのに気づくと、
黒いグローブの手が瞳を隠す。
そして、聞き取れないほど微かな声で、彼の名前を呼んだ。
ハルの脊椎を電流が駆け下りた。
はめられたということは、事実として、分かっているのだ。
彼は良くブルースから、莫迦だ阿呆だ貴様はどうして後先を考えずにしか行動出来ないと散々言われるが、
そのブルースが、極度のパラノイドであるバットマンが、外宇宙にいる人間を何の用もなく呼びつけ、
(実際には、第三者が漠然と伝えただけだが、)
ハルと唐突に、セックスしている。
それがどんなに有り得ない事態か、常にバットマンと逆の行動を選択するのが趣味の彼には良く分かる。
だから、そうさせるだけの“何か”があるのは、確かなのだ。
しかし、ブルースはそれを言わないつもりでいる。
逃げないように腰を掴み、奥の深いところまで突き上げた。
ブルースの身体が仰け反り、けれど、声は上げない。
無言で喘ぐ口から、熱い吐息が零れる。
その唇に唇で触れそうなところまで上体を前に傾けると、やはり体勢が少し苦しいのか眉を顰め、
けれど、ブルースは自分からハルの首に腕を絡め、彼に口づけした。
ハルはその身体を支えると、あとはただ、ブルースのいいところを角度をつけて抉ることだけを考えた。
繋がった部分が蕩けそうに熱く、引き抜こうとすると、まるで離したがらないように締めつけられる。
抉って、貫いて、何も分からなくなるほど、深く突き上げる。
唇の合間で、ブルースが彼の名前を囁く。
そのたびに電流が走る。
熱に潤んだ藍色の瞳は彼を映し、あるいは、彼の知らない何かを遠く。
ハルがそれを問うことは、ないだろう。
だから、はめられたことは、分かっているのだ。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
→次
微妙に長いんで二つに分けます。
リランチ前のINFINITE CRISISの、ブラザーアイを撃墜しちゃう御一行様で、蝙蝠がオリーに言った
"Just to see if you'd show."
が好きでして。
ところでこの話、すごい状況下で口笛がTake me out to the ballgameなおハルさんが、何本かの指に入る頭のおかしさ。
なんであんなに寛げるのか意味がわからない。 その後でかっちょよく蝙蝠を助けてくれるから、もうどんだけジェフ・ジョンズに愛されてるのかと。
リランチ前とリランチ後で、そりゃあもう色んなところが変わったわけですが。
たとえば、リランチ前のジェフ・ジョンズの蝙蝠は、清々しくなるほどツンデレだと私は思うのです。
GL:REBIRTHから始めるなら、その後の#9、あとINFINITE CRISISを並べてみれば、完全にツンデレです。
ツンの後にちゃんとデレるから嘘偽りございません。
BLACKEST NIGHT#0なんて、短い回想にきゅっとつまったツンデレっぷり。
ついでにGL#62もつけましょう。 あれはどういう意味のhoneymoonなのか気になりますね。蜜月と書くとエロいですね。
リランチ後のジェフ・ジョンズの蝙蝠といえばJUSTICE LEAGUEですが。
ツンデレ、ではないと思ってます。
これに関しては未だ何と言ったらいいのかわからない。
それよりむしろ、おハルさんが蝙蝠に絡みたがりすぎ。
そんなおハルさんに毎度ちゃんと説教食らわしそうな蝙蝠は、ある意味仲が良いなあと。
ていうか気付くと二人だけが会話して話が進んでいくというJL。
そんな状態だったので、おハルさんがいるといないとで、結構雰囲気違うんす。
つか、おハルさんがいなくなった後の方が皆がちゃんとコミュニケーションしてます。 名前呼びです。
今の蝙蝠は、アーサーのことはアーサーと言うのに、おハルさんがいた時はランタンとしか呼んでなかった気がします。
おハルさんが帰ってきたら蝙蝠は何て呼ぶんですか? ハルですか?
確かめようにも今年中におハルさんが帰ってくるのを諦めている現在四月であります。
new52のジェフ・ジョンズの蝙蝠は、やわらかめですね。
人の話をちゃんと聞いてて、(おかしい、人の話を聞いて物語を前に進める面子が明らかに少ない)
ごめんて謝るし、(結構素直に言ってくれるから本気か疑いたくなるけど多分本気)
話をちゃんとまとめてくれるし、こう、子持ちのお父さんの落ち着きと自制心を感じますね。
あ、なんかわかった、I'm BATMANな感じがちっともしないんだ。
JLの蝙蝠は自分一人で動くとかじゃなくって、常に動く周りの中の要の位置にあるのよね。
と考えると、FEはヴィランの中でぼっちに近い状態なんで、嫌なトコつっこまれるなあと思いながら見てます。
いや、わりと普通に皆さん団体行動してたけど。
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