たいとる : 『昔々ある所に、性格の複雑に屈折したダークナイトと、やることがちょっと大博打なグリーンランタンがおりまして』
ながさ :短い。
だいたいどのあたり :昔々のジャスティスリーグ。
どんなおはなし :GL/蝙蝠小ネタ集。 セフレがいいとこな二人です。
ちゅうい :腐女子向けだよ。 品がよろしくないから良い子の15歳以下は見ちゃいやん。




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26. 『11月22日』



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照明が落ちて、映画が始まって。
案の定、たった10分でブルースはつまらなそーにし始めた。
まあ趣味じゃなそうな気はしたけど、早いだろ。
もしかしたら、今の退屈な物語が3分後に急展開するかもしれない。
と、考えるような奴じゃないのは知っている。
(だいたいコイツは他人のことを言うくせに自分だって好き放題だ。)
そのまま放っておくと、寝るか勝手に帰るかしそうだったので。
キスをした。
どうせ周りの席はカップルだらけ。
けれど、なるべく控え目に
唇に。

暗がりの中、もう一度、その瞳を覗き込んだ。
つまらなくも、なさそうだった。

だから、今度はもっと。
内側と内側とが感じ合うように。



なんて、
暗いとこで手を握ってそんなことやってれば。
自然と完全にそういう気分になるのも、仕方ないことで。
(そういえば、こいつが部屋にいる時は、映画を最後まで見たことがない。)
にしても。



きゅぅっと締め付けられて、危うくそのまま持っていかれそうになる。
奥歯噛み締めて堪えた。 クソッ、早いだろ。
さっさと終わらせるに限るにしても、だ。
男子トイレの、一番奥。
使用禁止の張り紙がされた、狭い個室で。
映画が終わって誰かが入ってくる前に、と考えたわけだけれど。
タンクに手をついて上体を支えているブルースは、
ほとんど慣らさずに挿れたせいで、さっきまでキツそうな顔してたのが、
今は、だんだん、いい声を抑える方が、きついみたいで。
その腰を掴んで後ろから突っ込んでる方としては、
そうやって、頬を上気させたエロい表情で、
すげー欲しいみたいに、熱い身体の中で きゅううって締め付けられると、
うっかり、あっさり、負けるから、ちょっと待て。
気を逸らしたくて、視線が彷徨う。
トイレの落書きは、どこも大抵品がない。
ここが使用禁止になったのは、賭けてもいい、誰か使用済みコンドームを流そうとしただろ。
あれはすぐ詰まるのに。

……んー。
なんだっけ? そこに書かれてる日付。

「なあ、11月22日って 何かあったか?」

ブルースは、話しかけるなッ と言いたげに眉を ぎゅっとさせた。
だから、ほとんど乱してもいなかったシャツの隙間から片手を入れて、
引き締まった脇腹を撫で上げていくと、じりじりしてくるらしく、息遣いが変わった。
息を飲み込もうとして、でも出来なくて。
乳首を指で摘んだ時に漏らした ちっちゃな声は、ほとんど泣き声に聞こえた。

「ん? わかんない」

ブルースの声は、聞き取れそうもないから。
こっちからその背中に覆いかぶさるように、耳元に直接伝える。
ブルースは、やっぱり答えずに、顔も伏せてしまった。
胸をいじるだけじゃ、足りないみたいだから、
もう片方の腕も前に回して、腹まで付きそうになってるブルースのを扱くと。
タンクに爪立てて震えていた腕が、堪えきれずにガクンと崩れて、
まるでブルースが、自分から下半身を押し付けたみたいで。

「催促しちゃうぐらい 余裕ないんだろ?」

そんな台詞でブルースが頭の中まで切羽詰るなら、余裕のない自分なんかいくらでも棚に上げられる。
と、思ったら。
自分の拳を噛んで、必死に声を抑えていたブルースが。
潤んだ目元を赤くしたまま、至極面白くなさそうに、ほんの少しだけ振り向いて、
だったらどうする、と小さな声で呟いた。


限界。




























暫く待った後。
出てきたブルースは、後ろ手に叩きつけるようにドアを閉めると、
何事もなかったように洗面台で手を洗う。
ブルースは、まったくいつもどおりの澄ました顔で。
これが、
さっきまでそこの使用禁止の個室を手っ取り早く性欲処理のために使ってました、
という奴の顔か、と眺める。

(コイツ、映画館なんか良くついて来たな。)
(てっきり、コイツの好きなのがやってるからだと思ったのに。)


なんとなく、その頬に、キスをした。
今度ははっきり嫌な顔された。
なんか不満か。


あ。


「思い出した。 11月22日で いい夫婦の日だ」
「どこの宇宙の話をしている」












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じゃぽんという伝説の惑星さ。
いい夫婦の日と全く関係ないよねー、というお話。
ていうかこれ普通にデートじゃね?

お互いに、相手のことワガママで訳わかんねー奴だと思ってればいいです。




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