たいとる : 『昔々ある所に、性格の複雑に屈折したダークナイトと、やることがちょっと大博打なグリーンランタンがおりまして』
ながさ :短い×23-25
だいたいどのあたり :昔々のジャスティスリーグ。のはずが。
どんなおはなし :GL/蝙蝠小ネタ集。 セフレがいいとこな二人です。
ちゅうい :腐女子向けだよ。 24・25は品がよろしくないよ。




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23.大人って。
[昔々でなく、INFINITE CRISISが終わって一年後なつもりジャスティスリーグ]


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今月から5分以上遅刻した奴はバッツにちゅーv


モニタールームの入口にあるホワイトボードの、シフト表の上。
顔を見せたついでにレッドアローが、赤色のペンでそんなこと↑を書いたのは、
今日がエイプリルフールだからで。
ご丁寧に可愛いキスマークも描いた、いつまでも子供心を忘れない一児の父親を、
当のバットマンが至極冷たい一瞥だけで放っておいたのも、
やっぱり四月バカだからだ。

世は泰平。
アーカムアサイラムの収容者が集団脱走した、
という緊急通信が入ることもなく。
ダークナイトはモニターから目を離すことなく、紅茶を一口。
モニタリングの交代時刻は既に25分ほど過ぎている。

程なく、レッドアローは廊下で、さして急ぐ様子もないグリーンランタンに出会った。
予定より待たされたバッツが相当イライラしてると伝えると、
その割りにおまえが五体満足で安心した、と返された。
たしかに、本当に機嫌の悪い時のバットマンと同じ空間にいたくないのは真実だ。
そして、やはり急ぐ気配のちっともないグリーンランタンの後ろ姿を見送りながら、

「シフト表のとこに今月の連絡も書いてあるからな」

と、付け足したのは、ちょっとガキっぽかったかなあと思う。
流石にアレは誰も引っかからない。
が、思いなおして踵を返したのは、
他愛無い、かわいらしい落書きの成果を見届けるためでなく。
そのバカらしさの評価を聞こうとしたからで。
まったく世は泰平。

だから、ひょいっと覗いたモニタールームで、
見間違えようのない背中が、マスクを外したブルースの頬に手を添えて、
唇を寄せる瞬間を目撃しようとは。

思ってもなく、慌てて首を引っ込めて廊下の壁に貼り付いた。
何!? ナニいまのッ! ホントにちゅーするとか信じらんねェエエェッ!!
お、落ち着け。
もしかしたらあの直後にバッツの右アッパーが入ったかもしれない。
今頃は殴り合いになってるかもしれない。
ここはビシっと、言ってやるべきだ。
えいぷりるふーる!
それで全部なかったことにするのが大人の対応、世の中のためってもんだろ。

でも、もしも万が一に、だ。
さっき、ハルの首に腕を回していた黒いグローブが、本当にバッツのだったら。

ンなわけあるかァアアア"!
ハルのことは良く知っているし、バットマンは、あの "バットマン"だ。
第一ブルースなんて女とセックスしてるのも想像できない時があんのに、ハル?
あ・り・え・ねェだろォがァアッッ!!

しかし、その時。
部屋から出てきたダークナイトの、厳然たる不動の横顔は。
ちらり、と。
恐慌と驚愕でブラックアラート発動寸前のロイを流し見、
擦れ違い様に、低く囁いた。
JLA尋問担当とも称される、だが、耳朶を慄かせ腰まで砕くような声で。

"エイプリルフール"

愕然と停止した脳味噌に、その言葉が沁み込むころ、
夜闇のケープを翻して影は消えている。
ロイは、壁からずり落ちながら、
二度とバットマンをエイプリルフールに巻き込むまいと決心した。
つまるところ、見たのは背中だけなのだ。

「……妊娠するかと思った……ッ」








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ちなみに、お春さんは寝る前になって今日がエイプリルフールだったと気づく派です。
いそがしーのよGLは。









24.過ぎ去りし日々は美しき哉 [昔々のジャスティスリーグ]


[注:蝙蝠が白濁液にまみれるハプニングなんてざらにあってイイと思うんだよね!]
  カルピスぶちまけたとか、ミルクのパックうっかり思い切り握り潰したとか、
  返り血が真っ白とかそんなアドベンチャーがあってもいいじゃない!
  (要は状況を考えるのがめんどいと申しております。)



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非日常は、一瞬で訪れる。

勢い良く飛び散った白い液体は、鼻梁まで隠す黒い仮面に、ぴしゃりと跳ねた。
あっ、と誰もが思う間に、滴り落ちるそれは、バットマンの唯一露わにする口許にも、一筋。
常なら厳然と引き結ぶ唇からは、何の言葉も出ず、
まるで放心したように。

その光景を、ハルはありのまま描写しなければと考え、

「顔し ァ」

言葉にした瞬間、顔面に裏拳が入った。
目をぱちぱちさせてハルが隣を見ると、深紅のスピードスターが にっこり。

「でも、あれ顔 」

指差し確認中の顔面に裏拳二発目。
にこりと笑ってバリーが肩から先で描く緋色の残像。
それでも、不屈の意志でハルが口を開くたび、
笑顔のまま超々々々高速の鉄拳が唸りを上げ。

その様子を、通りかかったダイアナは、小首を傾げて眺めると、
何があったのか、ウェットティッシュで顔を拭っている友人に、タオルを渡してやりながら、

「あの二人は何をしているの?」
「気にしなくていい。 さして意味は無い」








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WWがいる時に下ネタはダメ!絶対ッ
そんな二人は大・親・友!
だから速度に反して優しく裏拳。 けれど何度でも殴りますよ。
バリーさんはジャスティスリーグの中でも物腰柔らかな部類だと良いです。
でも破廉恥は許さないんだってさ。











25.あなたは大概そう言うけれど、


[注:蝙蝠が白濁液にまみれるハプニングなんてざらにあってイイと思うんだよね!(略 ]
 (やはり状況を考えるのがめんどいと申しております)


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邪魔だ、と極めて簡潔に言われたので。

レッドアローは ずずずとイスを引っ張り寄せて、座ることにした。
逆に腰掛け、背凭れに頬杖をつけば、かぶりつき席。
そんなロイを、バットマンはちらりと一瞥をくれたが、出て行けとは言わず、指先も止めず。
分解か、解体か、あるいは解剖か。
黒いグローブに覆われた指は、滑らかに、繊細に、
金属で構成されながら、動物の腹部のようにも見える内側を、探り、暴いていく。
そのうち、太い動脈を思わせるコードを掴むと、一気に引き抜いた。
構造を把握しているのか、ほとんど無造作に。
が。
ぶつんと引き抜いた途端、下にプールされていたらしい液剤が、派手に飛び散った。
ロイは思わず身体を引いたが、真正面にいたバットマンは、
その顔から胸まで、半透明の飛沫で濡れ、ゆっくりと伝い落ち、
しかし、それを拭おうともせず。
何事もなかったように、黒い指先は解体し続けている。

有害な液剤でないことは知っていたのだろう。
何故なら、バットマンだからだ。
きっと瞬き一つしなかったに違いない。

しかし、レッドアローは、ペーパータオルのロールを傍に置いてやりながら、
にんまり笑って、言った。

「はは、クソ真面目な顔して、顔射されたみてェー!」

強いて言うなら、仕返しだ、エイプリルフールの。
白に近いその色が、本当に似ていたせいもあるし、
そんなものでしとどになりながら、バットマンが顔色一つ変えなかったこともある。
とにかく、笑えれば、それで良かった。

その視界の隅で、ゆらり と影が動いた。
そして、

「良く聞こえなかった」

あの声が、ロイの頭の上から響いた。
視線を上げれば、深淵が見下ろしている。
暗い、冷たい夜闇から、光ではない銀の双眸が、ひたりと見据えている。

「へ?」

間の抜けた声を出しながら、イスから腰を浮かせたのは、本能だ。
とりあえず離れようとするロイの顎を、黒いグローブが掬うように掴む。
口を両端から挟まれて、へぶっと妙な声を上げたが、鋼のような指は微動だにしない。

「え、なに? 怒ってんの? 俺ホントに怒らせた?」

夢見る乙女のポーズで両手を合わせ、ロイは小首を傾げる。
分かりにくいかもしれないが、赤いマスクの下から上目遣いにウィンク。
意外と可愛いもの好きなバッツの心への、アピールだ。
怒れるダークナイトのケープを踏んづけて平気な顔をしているのは、どこかのグリーンランタンぐらいだろう。

「ちょっと言ってみただけだろー? 冗談だよ」

しかし、無情な手は許してくれず、
硬質ガラスの両眼が、拷問吏の眼差しでロイの顔を覗きこむ。

「何を言ったんだ。 聴こえなかった」

嘘だ。
ぶっちぎりで嘘だ。

「だからァ……顔射デス」
「ん?」
「……ガンシャ
「聴こえない」

その唇が、吊り上がるように、弧を描いた。
うっと、ロイは口をぱくぱくさせて、空気を飲み込む。
目の前にあるのは、泣く子も黙るダークナイトの仮面。
夜闇の底で犯罪者達を餌食にする怪物が、あれに良く似た白濁液で汚されて、
唯一肌を露わにする口許まで、一筋。
けれど、その唇が薄く、微笑っている。

何故か突然、顔射、という単語が、はずかしくなった。
いや、今更可愛い子ぶっても遅いのは知っている。
が、無性に。 は、はずかしい!

「ロイ」

いけないのは、その声だ。
低く囁いて、腰の奥まで響かせ、砕くような。
脅してるのか、叱ってるのか。 それとも、誘っているような。
むしろ、セクハラ。
ディックーッ! おまえの父ちゃんが俺に恥ずかしぃ単語言わせよォとする!
なのに、何の間違いなんだか、チンコが勃ちそうな気がしてきて、困る。
違うからっ! 俺マゾとかじゃないですからっ!

と、不意にその手が、はらりと解けて、

「冗談だ」

鼻先で軽く、嘲笑った。
ロイは、一気に全身から力が抜け、ぐったりとイスにへたりこんだ。

ふざけんなマジでそのツラにぶっかけんぞ
「何か言ったか」
「ううん? なんにも!」

うふっと良い笑顔で答える。
けれど、金輪際バットマンに下ネタは振るまいと、心に誓う。
色々と、怖い。

そこに、ひょいとハルが顔を覗かせて、

「おまえらまだここにいたのか。 今キッチンで……
 って、なんだロイ、いじめられてんのか」

ロイは無言で指差した。
ハルは、何故だかとてつもなく嫌そうな顔のバットマンに目をやると、

「顔射!?」
「貴様は黙ってろ」












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この後、話は長男まで伝わって、ちょっとそこに正座しなさいということになる。
そして、何故僕にはセクハラせず他所の男には手を出すのかと長々詰られる。

こういうシチュ、前も書いた気がしますが。
何か作業してる蝙蝠をじっと観察したいという個人的な願望です、そこは。








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