たいとる : 『大富豪は空から墜ちる』
ながさ :短い。
だいたいどのあたり :アニメ『THE BATMAN』シーズン5の「Ring Toss」話。
どんなおはなし :「Ring Toss」で何故かグリーンランタンが最初から当たり前のようにバットケイブにいる件について。
           だったら、実はその前に二人は会っていたっていいじゃない、という妄想。


*ここの管理人、吹き替えで見たことがありません。
 だから諸々間違ってるかもしれませんよ。




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落下でなく、貫通であり、
重力ではなく、"意志 "なのだ。
一条の光は、星の大海を越えて地球の大気圏を貫き通し、
摩擦熱はただ万華の火花となって砕け散る。
エメラルドの流星は、馴染みある大気の感触に、ゆったりと減速した。
そして、"グリーンランタン "は、帰還した。
この空域まで来れば、残りは気侭なものだった。

が、その日は、奇妙な事件に遭遇した。

始まりは、高度一万m。
雲もない一天の青から、墜ちる影。
それは四肢を持った、人間だった。

けれども、その自由落下は、不思議と鷹揚で、
だから彼は最初、スカイダイビングなのかと思った。
しかし、近づいてみると、パラシュートを付けている様子がない。
装備云々の前に、先程までパーティーにでも出席していたようなスーツを着ている。
つまり、本当に、墜ちているのだが。

「……あー、 ミスター?」

問いかけに、その青年が視線を上げた。
そもそも、人間の身体というものはバランスが悪いもので、
何も分からずに空中に投げ出されれば、翻弄されてしまうものだが。
青年の目は、確かに彼を捉えた。

「手を貸しても?」

時速207kmで落下する青年は、並行して下降する緑の光線に、
唇だけを動かして、笑った。




「君に助けてもらえるなんて、光栄だね。 グリーンランタン。
 あとで皆に自慢しなくちゃ」

淡く輝く球体が二人を包み込み、静止した。
青年は、どこかおっとりと感謝を述べると、乱れた黒髪を指で梳く。
やはり上から下まで完璧な盛装で、しかも随分仕立てが良い。
聞けば、プライベートジェットで催されたパーティーに、招かれざる客が混ざっていて、
機内に持ち込んだ爆発物でゲスト達を脅迫しているらしい。

「面倒は嫌だなあと思ってたら、足を滑らせたんだ」
「次からはパラシュートを確認するべきですね」

そもそも、どういう状況になればジェット機から足を滑らせることが出来るんだろう、
と思ったが、目の前の青年は、落ち着きを払うというより、のほほんと浮世離れしていて、
そんなことも、あるのかもしれない。

「次もあるかな?」

ぱちりと瞬きした双眸は、ガラス細工のような青だった。






結局のところ、彼は、宇宙で最も強力な武器を任された "グリーンランタン "で、
ジェット機を捕捉してハイジャック犯を制圧するまで5分もかからなかった。
しかし、不思議なことは。
犯人の半数が、何故か昏倒していたことと、既に解体されていた起爆装置だ。
その鮮やかな処理が何者の手によるのか、彼のリングでも分からなかった。

それでも、怪我人もなく、事件は無事解決したと言えて、
彼はハイジャック犯を一まとめにし、このまま近くの空港に降りるというジェット機を離れた。
ふと、視界の隅に窓が入った。
先程の青年が、ガールフレンドにボウタイを直してもらいながら、笑っていた。
その目が、こちらを見たような気がした。
向こうとは距離がある。
だから、錯覚かもしれない。

彼は、犯人達を閉じ込めた球体ごと一気に地上まで下降した。
尾を引く悲鳴を聞きながら、途中で、はたと気づいた。

「今の ブルース・ウェインか」
























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ジャスティスリーグが出てきて、色んな人がバットケイブに来るようになりましたけど、
最初から当たり前のように蝙蝠をブルースと呼んで、
当たり前のようにケイブにいたのはこの人ぐらいだと思うのですよ。
というわけで捏造開始であります。
続きのお話はこちらになります。






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