小ネタ 『一筆啓上』となんとなく繋がってそうな、魚と蟹

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どこまで行くのか
どこまで行こうか

冬空を渡っていく風の あの音を聞くたびに



 『年賀状』


「それで」
「で」
「今年はどうしようか」
「んー、やっぱりアレじゃね? 『子供が産まれました。』」

永遠の薔薇咲く園の、青く澄んだ空の下。
白いテーブルには二人。
黄金の光輝を纏うような人の、紅い花弁の唇は綻ぶ。
華やかに、花やかに。

「心配する必要は無い。 君がそう言うのなら、私は認知するよ。
きっと君に似た良い子が産まれる」

すると、その向かい。
筋の張った手指が (魔女の骨にも似た指が)
けれど、花散らす淑女の如くたおやかに、白い茶器を撫でて言う。

「自分だけが男と思わないで」

嗄れた笑みは至極悪辣。
美神の名を冠する旧友へ にっと捧げる。
それなのに、どうしてか、どこかしら、不思議なのは、
彼と彼が、まるで似ていない双子のように瓜二つの眼差しをすること。
久遠の薔薇咲く園。
それも、二人だけの秘密。



そして、二人。
晴れた冬空。 風の音。
手紙を書いて、そっとポストに入れた。
宛先は、子供の遊ぶままごとの国、今はもういない人へ。

「サンタクロースに手紙を書くようなもんさ」

(ポストに入れられた手紙は、もちろん、郵便局が集めます)
(そして宛先どおりに今日も正しく届けられます)
(二人が書いたのは、私書箱の番号)
(名前のないそれはいったい誰のもの?)
(二人は誰にも教えない)



今はもう、いない人に、手紙出した。
冬の風、今来たる。
鋼の大地に立つ。





























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年賀状というよりクリスマスカード。
今年もまた一年重ねた愛をこめて故人へ挨拶を。
一年に一回だけの手紙なので、意外性を追求して今年は『子供が産まれました。』
そういう、ちょっと秘密めいた繋がりを、この二人と射手座兄さんが持ってれば面白い。
山羊?
不合理で非生産的なことには、あまり加わらないようです。
ところで、このサイトの射手座兄さんはいつも故人ですね。



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