石くれの、冷たく転がる寂しい墓場に、月が昇る。来る。
大きな大きな月に呼ばれ、影が出る。
一つ、二つ、三つ、
地の底、漆黒の闇から這い上がり、
四つ、五つ、六つ、
暗い螺旋を逆巻きて、土の下より死者の来る。






「あ゛ー、やっぱり行きだぐない。こっそり換わんない?」
「代わっても構わないが、こっそりはいかないと思う」
「そーかあ?」
「何がそんなに不都合なんだ。今まで何も言わなかっただろう」
「言えなかったの。言ったらまた"アレ"だ。いきなり若返ったから尚更やりたがるんだよな、アレ。
あー、なんであの人と俺が一緒なんだよー。なんか授業参観みたいで、ヤダ」
「参観……ああ、正しく参観だ」
「だろー?」
「頑張ってくれ」
「無理。緊張するとおなか痛くなる子ね、俺」
「そうなのか?」
「なんだよ」
「顔が笑っている」
「あー? おまえ何も分かってないな。顔で笑って心で血涙だっくだくなのが俺よ」
「そうか」
「そうだ」
「では、私もそう心得よう」
「カミュ?」
「ああ、二人が来た」
「いやちょっと待て」
「時間のようだ」
「アフロディーテ! 少し待ってろッ まだこいつに話が……」


「また会おう、デスマスク」







墓場の月、死者の微笑む、不可思議の夜。






















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冥皇十二宮編、慟哭三人組は同タイミングで泣けます。流石。
カミュは真面目な顔してちょっとずれてても楽しい、私が。


つか。
蟹+魚+大羊の組み合わせがおっかしくて好きだ。
授業参観というより間違った水戸黄門一行。
そんな蟹は、大羊相手に敬語使ったり御意とか言うくせに、ちっとも畏まってない。
好きだ!


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