じーちゃん。
おれのじーちゃん。

おれよりちっちゃい。
でもおれよりすんげー強い。
ずっとすわってるくせに一発もまともに入れたことない。
ちょっとへこむ。
じーちゃん、笑うじーちゃん。







おれのじーちゃん。おれよりちっちゃい。

でも。
あれは。
なんだったんだろう?

夜中、となりを見たら、月の光でおっきな影。
おれは、じーちゃんのとなりで、ねてるのです。







おれのじーちゃん。よく笑う。
昨日のは何? って聞いたらやっぱり笑ってた。
マロは、笑って誤魔化してるんですよ、って言った。

じーちゃん。
ごまかしきれてないじーちゃん。
でも、おれのじーちゃん。
いつか巨大化する日が楽しみ。







ちっちゃいじーちゃん。
よりちっちゃいマロ。
といっしょに今日もしゅぎょー。
じーちゃんにへこまされるのはしかたないけれど。
ピレネー山羊にまで凹まされるつもりは、ね、えな。
思い出すと腹がたつ。
ので、今日はしゅぎょー。







週3はマロとお出かけ。
チベットの山奥でマロじーちゃんが待ってる。
マロのじーちゃんでなく、マロなじーちゃん。
マロ一族はみんなの聖衣をなおすんです。
トンカチで。


すげえ。






マロは頭のいいガキんちょ。
「今日はこれをよんでください」
本は一回よんでやればそれでもうわかっちゃう。
「今度はこれをよんでください」
「次はこれをおねがいします」
頭のいいマロは舌ったらずマロ。
そのうちよむ本がなくなった。
そしたらマロ、ずいぶん前によんだやつを持ってきた。
「これよんでください」

あれ。







じーちゃんの家にある本はみんなよんじゃった。
だから聖域に行ってもいい?って聞いた。
いいよってじーちゃんが言ったから。
マロはすげーよろこんだ。


マロじーちゃんにあいさつした後で、はじめての図書館。
ごきげんマロ。
かたっぱしから本をもってくる。
や、よむのおれでしょ。

そんなかんじの三日目。
きゅうにマロが言った。もう帰るんです。
おれは、ははーん、と思ったけれど、だまってた。
マロはすねると長い。
マロの手ひいて、さよならのあいさつ。
マロじーちゃんはなんだかいっしょに帰りたそうだった。













いい、におい。

じーちゃんの家から、おいしいにおい。
マロが走った。
そしたら、すわってたじーちゃん。
まゆげをふんにゃりさせて、笑った。



ただいま、じーちゃん。


































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マロは麿。でもマロと書くとなんだか人の名前みたい。

蟹6歳、羊3歳くらいで。
この二人が五老峰で普通の兄弟みたいにしてたら、楽しい。
後のことを考えるとなお楽しい。



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