雷雨はもう通り過ぎたらしい。
月下、水の匂いをたどるように歩く。
道は仄白く照らされる。

俺は気づいている。
これは、夢を見ている。

(ああ、しくじった)

と思っても、なかなか夢から覚めそうにない。
俺はただ眠っていたいだけなのに。

夢と知った夢の中。
けれど、白い夜道は先へ先へと、なにか見知った風景に帰っていく。
じきに見えてくる、ちっぽけな家。

ドアを開けようとして気づく。
まだ誰も帰ってきてないらしい。
すぐに聞こえてくるガキの声がしない。 うるさい気配がない。
うるさくしない方だって、いれば絶対、分からないわけがない。
この家は、こんなじゃなくて、もっと

(ああ、しくじった)

開けないままにしたドアの前。
なんとなく むずがゆいような気分に、なってしまった。

ドアノブにかけた指を、そのまま外して
もと来た道を、また夜の中。
虫の声に誘われてふらふら歩く。


夢と知った夢だから
やがて、指先から ほどけて、溶けて、眠りにつく






























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『神無星』が一応頭の中にありましたけど、お好きに。
ダンテ先輩と盟ちゃんは、上の子と下の子とかそんなで。


(07/07/18)
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