星明りがあんまりはっきりしているから。
このまま歩けば、どこかですれ違うかもしれない。
白い石段は上へ、上へと続く。
綺羅をちりばめた夜空から降りてくるように。



  連なる十二の守護宮に主はなく
  虚ろなその静けさ
  石段は蒼ざめた光を浮かべる



何かしらの欠片を求めておれは上を目指している。
透きとおる夜気が、もしも微かにふるえ
あの人の声や、息を吸う気配をおれに伝えたなら
きっと探し当てることができる。

けれど、おれの望みは
五十六億七千万年の未来にも叶わないらしい。


星がこんなに輝くなら、あの人の夜道も照らせ。
きっと気ままに道草している人の、帰り道を
いつか俺が追いつけるほど明るく。



  悲しいのは ただ
  もう何も新たに共有できないこと














主の帰らない守護宮の前。
星明りに蒼ざめた足音が石段を昇ってくる。
おれは振り返り、笑った。




「……星になった師匠と話していたんだ」




























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ギガントマキア中
最後の台詞は一部変えてあります。



(07/07/15)

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