耳をすまして

声をひそめて

求めるのは









『妄想シミュレーター』





準備するもの

いい具合にテンパった土屋
手錠×1
襲いやすそうな緋咲薫

管理人リク 2222自爆記念
『妄想シミュレーター』
お題 “緋咲薫(受)における拘束プレイ。その可能性の検証”


注意

中学生以下の閲覧禁止





第一回   冷血ストリッパー






土屋は自分の乾いた唇を軽く舌で湿らせた。
必要も無さそうなのに息を殺してそっとソレに近づく。
まるで眩暈がするような気分。
緊張しすぎて視界が歪みそうになる。
そんな自分を、心のどこかで小さく嘲笑った。

大丈夫。
心配することは何も無い。

ほら。
あの人はあんなに安らかに眠ってる。

ソファーに横になった緋咲は死人のようにピクリともしない。
透けるような白い目蓋は閉じられて、微かな寝息が響いている。
その寝顔はまるで無防備で
常日頃の、一瞥だけで人を絶命させてしてしまいそうな空気は無い。
ここにあるのは
微かに揺れる睫毛の影
酷薄だけれど形良い唇

触れて欲しそうな白く滑らかな肌


ちりりと身体の奥で熱いものが生まれる。


土屋はそっと緋咲に近づくと、その腕を取った。
その肌に触れる。
欲望を押さえきれずに、白いそれに口付けした。

身体の奥で生まれた熱が血に混じりこみ、脳を犯す。
土屋は持っていた手錠を強く握り締めた。
冷ややかな金属の感触が肉に食い込む。

土屋はもう迷わずに、それで緋咲の手を戒めた。




緋咲さん……





瞬間感じたのは、恐怖。
瞬間感じたのは、恍惚。



自分がこの世で最も恐れるべき人間に対する罪業
罰は回避不可能
けれど脳味噌を沸騰させるのは
この人が自分の手の中にいること


まったく愉快だろ。
自尊心ってのが、あの大気圏より遥かに高そうなこの人が
好きにしてくれって言ってるみたいに腕の中にいるんだ。
頭に血が昇らないほうがおかしい。
そんな奴は絶対イ××だ。



土屋は柔らかな緋咲の髪を指で梳きながら、そっと名を呼んだ。

「緋咲さん」

恍惚と
畏怖が
ないまぜになって声を掠れさせた。


「……土屋?」
緋咲はぼんやりした目で自分に覆い被さっている土屋を見上げた。
険の無い、少し赤くなった目が普段とは異なる艶かしさを漂わせる。
堪らなくなって土屋はその唇を奪った。
一瞬何が起こったのか分らずに顔を背けようとする緋咲の顎を押さえ
唇を閉じれなくさせて舌を入れる。
すぐに緋咲のそれを見つけ絡み合わせた。
「んっ……」
身体の下で緋咲が暴れようとする。
土屋を蹴り上げようとしても身体が密着し過ぎて上手くいかない。
覆い被さっている身体を腕で押し退けようとして、手錠の鎖が冷たい音を立てた。
「土屋!」
叩きつけるような声が土屋に浴びせられた。
睨む双眸が冷たい燐の炎のように見える。
自分が今、押さえつけている人間が誰かを思い、土屋を恐怖が貫いた。
が、同時に抗いがたい征服欲が脳を麻痺させる。
土屋は自分の手が震えるのを無視して
手錠で戒められた緋咲の両手を頭の上に伸ばさせソファーに押し付けた。
まだもがこうとする緋咲の首筋に噛みつくようなキスをする。
緋咲が小さく息を飲んだ。
白磁を思わせる滑らかな肌を耳のあたりまで舐め上げた。
「ッ……土屋……」
焦りをはらんだ声。
普段なら絶対土屋に向けられないもの。
それが土屋を煽った。
緋咲の腕を押さえつけていた手に力がこもる。
「痛っ」
冷たい金属が引き攣れて、緋咲の肌に食い込んだ。
短くあがった声も、恍惚として熱に溺れた土屋の脳味噌を冷まさない。
緋咲を押さえつけたまま別の方の腕で服を脱がそうとした。


冷たい色の瞳はそんな土屋を一瞥する。
そうして瞳は閉じられる。



「土屋」

決して大きくはないその声を土屋は無視することが出来なかった。
思わず動きを止める。
「……分ったから」
土屋の下で、緋咲は強張った身体から力を抜いた。
「てめーが何したいか分かったから……そんなに力入れて押さえんな」
囁くような声は土屋の耳に哀願しているように聞こえた。
実際にはただ不機嫌な声だったのかもしれないが。


それでもその声は
土屋の腕から力を抜くのに充分だった。
「すいません、痛かったですよね…」
償いに優しい口付けをして土屋は緋咲の腕を解放した。
緋咲はすがりつくように土屋の襟を掴んで引き寄せる。


ふと緋咲の、冬の湖に似た瞳が開かれる。
艶かしい冷笑が浮かぶ。


「相変わらず甘ぇな?」


土屋の脳味噌の中で、遅すぎる警告が響き渡る。
身体を起こそうとした瞬間、襟を掴んだ緋咲の手が交差した。
くぐもった悲鳴が土屋の口から洩れるが
緋咲は少しも構わず、襟を捻るようにして首を締め上げた。
手錠の鎖には限界があるから思いきりは出来なかったが。


冷たく硬い金属がギリギリと自分の手首に食い込んでも
緋咲は力を緩めなかった。

「あー、手だりぃな……早く落ちろよ」

呑気な声で、緋咲は土屋を見上げて言った。
土屋は必死で喉を締め上げている腕を外そうとした。
けれど緋咲の腕はまったく揺るがない。







間近で緋咲は微笑んでいた。






それを網膜に焼き付けながら、視界は闇に食われる。


眠る直前みたいに、気持ち良かった。













夢を見た気がする。

とびきり卑屈で淫らな夢を。






















その後

床で目を覚ました土屋は緋咲の手錠の鍵を外すしかなかった。
そして床に正座したまま2時間放って置かれても文句は言えなかった。


「ふぅ……ったく、バカ過ぎてものが言えねーよ」






『妄想シミュレーター』
“拘束プレイの可能性の検証”
第一回 反省点

・情けはかけるな
・緋咲が手錠掛けられているからといって安心してはいけない。
何故なら緋咲薫だったらその状態からでも
シャイニング・ウィザード(飛び膝蹴り)の一つも出来そうだからである。
食らったら、死ぬ。
・何か言われても心を動かしてはいけない



総評

土屋ダメすぎ。



次回への改善点の提案

・状況にもよるがやはり手錠は後ろ手に。
・指錠のほうがきつくていいかも。
・とにかく緋咲に余裕を与えては拘束プレイ成立しない。
・てか黙らせろ → ポールギャグ(よだれ玉)の必要性?
・視界を塞ぐのがやはり吉かな…



感想

おかしいな…途中まではいい感じに拘束プレイだった気がするのにな。
やはり土屋じゃ無理かな〜個人的には好きなんだけどな。
イマイチ鬼畜度が低いね。
…いや、そんなに鬼畜度が高くない人が行う鬼畜行為とか好きかもしれん。

まぁとにかく…ガンバレ土屋!!




とにかく帰ろう。