『 身体測定 1 』 春も四月となれば身体測定です。 こんなに背が伸びたーとか、休みの間に太っちゃったーとか、 皆様それぞれはしゃぐもんです。 そんな中、同じクラスの女の子たちが互いの結果を聞き合ってキャーキャー言ってるのを横目に、 土屋はジャージのままぼんやり席に座っていた。 机の上には一枚の紙切れ。 記録された計測結果を見ると、どうも順調に育っているらしい。 このままずんずん背が伸びれば、結局どこまでいけるかな。 少なくともあと10cmは欲しいな。 なんてことを考えていると、横で友達と騒いでいた女子の一人が、 ひょいと土屋の前にある髪を覗きこんだ。 「ふぅん。やっぱり背高いんだね、土屋くん」 土屋は適当な返事だけした。 そろそろ一服しに行きたくなっていた。 席を立ちかけた時、その子が不服そうに口をとがらせた。 「ねー、なのに体重があたしとあんまり変わらないってどういうコト? 不公平じゃない?」 なにが不公平なんだっつーの。 人を貧弱と言いたいのか、コイツは。 土屋はうんざり顔をしかめた。 「うっせー。早くソレ返せ」 その子は丸っこい顔で にっと笑った。 「あたしの肉あげようかー?」 「いらねーよ」 思わず笑った土屋の手許に計測結果が返された時、 教室に誰かが駆け込んできた。 「土屋いる?」 染めた頭から右目にかけて、白い包帯。 相賀はまた何かやらかした後らしい。 「相賀、どーした?ソレ」 土屋は怪訝な顔をしたが 「あ、コレ?コレはどーでもいいんだ」 何事も無かったように首を振る。 「それより」 土屋が何か言う前に、相賀はその手から計測結果の紙をひったくっていた。 「身長んトコ見せて」 「もう見てんだろ…」 相賀は紙に顔を近づけ、じっくりソレを眺めると、おもむろに土屋の方を向き直り、にっと笑った。 「勝った!」 「ちょっと待てッ なんでてめーが勝つんだよ! ちびっこ!!」 誰の目から見ても相賀より土屋のほうが背が高い。 しかし相賀は得意気に笑った。 「ココんとこ、よーく見ろよ」 その指が指すある一点。 「おまえ、去年から8cm伸びてんだろ」 確かにそう書いてある。 そして相賀は誇らしげに自分の紙を突きつけた。 「ホラ! 俺って8.4cm伸びてる」 土屋は眉根を寄せてその紙を仔細に眺めた。 それは確かに、相賀の言う通りなのだ……けれど 「ちっちぇ奴……」 土屋はぼそりと呟いた。 「誰がチビだッ!」 「おまえだよ!」 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 身体測定といえばジャージだと思うんですが、違うんですか? お帰りはこちら。 |