たいとる : 『夢オチじゃない。』
ながさ :ほどほど
どんなお話 :クリスマスなのになんかもうべろべろに疲れちゃったから、顔見知りを襲ってみた。 そしたら返り討ちにあった。
他の話とは特に繋がってません。 できてない二人だよ。 時系列とか知らね。
ちゅうい :腐向け。 GL/蝙蝠。
良い子の18歳未満は見ちゃダメだ!
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木石だの人でなしだの日頃好きなように言われているが、彼は甘んじてそれを受け入れている。
まず、科学的事実を積み重ねて合理的帰結を導き出す過程において、彼個人の感情は有益であるどころか障害になる。
そして、地上300mの高層ビルから落下する時、物理法則と彼の意志の間に何ら関わりはなく、
彼の身体を地面に叩き付けようとする重力に対し、彼は己の技量と道具で抗わねばならない。
(ほんの一言を口にすれば、マン・オブ・スティールは即座に現れ彼を救うだろう。)
(それが真実であるからこそ、彼は決して、親友の助けを求めはしない。)
あるべき精神とは、冷静周密。 客観と論理。
感情の揺らぎを、彼は歓迎しない。
恋情など尚のこと。
しかも、その情動を喚起させる対象がグリーンランタン(五月蝿くてガードナーでない方)であるなら、
彼には全く、不条理としか思えない。
思えないが、しかし、その感情が確かにそこに存在すると知った時、彼はあまりのことに、
自分はどこかおかしいのではないかとジョン・ジョーンズに相談しようとし、我に返って止めた。
正気の沙汰でない。
故に、彼は自分の中のそれに、触れないことにした。
見ない振りをしてしまえば、彼の昼夜は華やかな社交界に機関銃と毒薬と、狂騒の舞台。
些末な感情の出る幕はない。
こうして、朴念仁の自覚あるブルース・ウェインの、薔薇色に頬染める少女の初恋よりも淡いそれは、
長い長い休眠期間の末に自然消滅するはずだった。
何事もなければ。
日付が変わって12月25日2:40a.m.
クリスマスに起こるはずだった全ての事件を解決し、バットマンとロビンは常よりも早く彼等の家に帰る。
育ち盛りの息子はアルフレッドの用意してくれたサンドイッチ、父親は紅茶にたっぷりの蜂蜜。
やがて、父子は上階へ。
おやすみをしてそれぞれの部屋へと別れ、けれど彼は、グレートデーンを引き連れて自室に向かう少年の姿を見送る。
目を覚ます頃、クリスマスツリーの下にはプレゼントがあるだろう。
そして、彼も自分の部屋に向かう。
ケイブでシャワーを使い、髪は濡れたまま、バスローブの上にガウンという格好に、
彼を幼少から躾けたはずの執事は些か眉を顰めたが、今日も彼は全部脱ぎ散らかしてベッドに倒れ伏し、
朝には、(というより昼頃には、)寝癖がついている。
しかし、クリスマス。
雲の絶え間に星は流れ、夜は静かにその朝を待つ。
25日に起きることになっていた事件は解決した。
明日は、25日に起きるはずでなかった事件を追っているだろう。
彼の思考は悲観的ではない。
ただ、現実に即している。
それでも、子供達には、人並みのクリスマスを過ごさせてやりたいと思う。
“人並み”や“尋常”というものは、彼の現実世界と折り合わない場合も多いが、
どこかに連れていってウィンタースポーツでも楽しませてやりたいし、彼自身、のんびりと何か読みたい。
手配はアルフレッドがしてくれるだろう。
そんなことを考えるうち、彼は自分が本当に、眠いのだと気づく。
整然とした思考から、脈絡というものがさらさら崩れ落ち、指紋と凶器はどこかに消えた。
代わりに、何故かも知れない遠い記憶の断片が同じ地点をくるくると回り出す。
彼は、疲れている。
そして、自分のベッドで誰かが眠っていることに、近づいてみるまで気づかなかった。
(その点について彼は後に反省する。)
「……ジョーダン」
喉奥から低く唸る。 が、相手からの反応はない。
年の暮れに帰る家のない元テスト・パイロットを暫く逗留させることになったのを、彼は完全に失念していた。
どうせ部屋なら余っている。 好きなのを使わせていいとアルフレッドには言ったが。
何故この阿呆は家主のベッドで寝ている。
「ジョーダン、邪魔だ」
アルコールの臭いをぷんぷんさせた酔っ払いは、何事かむにゃむにゃ言って寝返り。
しかし、起きる気配はない。
ブルースは幾つかの選択肢について考えを巡らせようとした。
が、至極億劫。
今すぐ眠ってしまいたいが、不眠症の彼は、それでもあと一時間は眠れない。
声を掛けるのも面倒で、無言でハルの肩を揺り動かす。
本当に起こすつもりなら、拳で殴るか、枕で顔を押さえて窒息させた方が良い。
ハルはやはり、起きない。
夜目にも安楽に眠る男を眺めるうち、ふと、魔が差す。
(その点についても彼は己の軽率さを後に悔いる。)
それは、論理と自制心によって構築された鋼の宮殿の地下深く、忘れ去れた不発弾。
ハルは夢を見ていた。
マッハ2.8で逆さまになる蒼穹は、途中から恋人に気持ちイイことをしてもらう場面になり、
前後に繋がりがまるでないが、大概夢とはそんなものだ。
けれど、恋人の顔を見ようとすると、何故だか上手くいかない。
いったい誰が今の恋人だったのか、間違えないうちに確かめておきたいのに。
おかしいな、と考えるうち、わかった。
目を閉じているのがいけないんだ。
そして、ハルは目を開けた。
暗いのは、まだ夜が明けてないからだろう。
ハルは手探りで、どこかにあるはずの灯りのスイッチを入れようとし、随分広いベッドに寝ていることに気づく。
あれ、と思いながら、頭の中がだんだん鮮明になってくる。
ようやくベッドの傍の灯りが点く。
「あ。」
その時、ハルが見た光景というのは、
裸にむかれた自分の下肢の真ん中で、完全に勃起した自分の性器と、
そのすぐ上、明らかに「面倒くせぇ」と言いたげな顔をした友人の、てらてらと潤んだ赤い唇。
「おわあぁ!?」
思わず意味不明の叫びが口から飛び出たのは仕方のないことだ。
そして、こんな時でもブルースは俊敏に動く。
「騒ぐな」
手でハルの口を塞ぎベッドに押し付け、更に膝でハルの身体に乗り上げる。
「同じ階で子供と犬が寝ている」
こんな所を見せられないのはハルも同感だが、勝手なことを言うブルースの低い、感情の籠らない声は、
『人体を構成する骨は206個存在するが、お前が口を割るまでに幾つ残っていると思う』
と相手を脅す時のそれで、第一ハルを下に抑え込んで黙らせているのが気に食わない。
ハルは口を塞ぐブルースの手首を掴んだ。
力尽くで外そうとして、この無駄に人類最強の大富豪はびくともしない。
窒息させる気かと一瞬考えたハルを、ブルースは面白くもなさそうに見下ろし、
「部屋を間違えたのはお前だ」
は? とハルはウェイン家の当主の顔を眺め、目だけで部屋の様子を窺うと、たしかに記憶とは違う気がする。
というより、用意されたゲストルームで高そうな酒を見つけたことは覚えているが、その後のことが良く分からない。
「だから、そのまま黙って寝ていろ」
仰向けの視界から、ブルースの顔が下の方へ消えていく。
呆気に取られるうち、敏感になっていた性器が不意に温かいものに包まれる。
がばっと半身を起こせば、口内にハルのものを銜えたブルースが、煩そうにちらりとハルの顔を見上げ、
そのまま喉奥まで導く。
「うぁっ」
慌てて声を抑えたハルは、今度は腰を突き上げたい衝動に耐えねばならない。
ハルのそれは眠っていた間にもブルースの口唇に散々お世話になっていたようで、あっと言う間に余裕がなくなる。
拳を握り締めてみるが、普段は愛想も愛嬌も皆無で“仕事”のことしか口にしない奴が、
その口で、一心にハルのものを愛撫している。
「……やべ、ブルースッ、」
差し迫った欲求にハルは友人の髪を掴んで顔を離させようとした。
流石に口の中には出せないと思ったのだが、まるでそれを嫌がるようなブルースに強く吸われ、そのまま、
「く、ぅッ」
我慢していたのを思いきりぶち撒けた、腰が蕩けてしまうような快楽に、肩で息する世界。
ブルースの指がハルを扱いて最後の一滴まで溢れさせ、綺麗に舐め取る。
喉が動き、嚥下する。
「おまえ……」
何かガツンと言ってやらねば、と思いながら、唇からこぼれた精液を指で取り、
その指を丁寧にしゃぶるブルースに、ハルは見えない鈍器で頭をガツンとやられ、唸った。
「オマエなぁ……」
ブルース・ウェインという人間は、世間ではどれだけセレブでプレイボーイか知らないが、
その中身は、雪深い奥山で修行する坊さん達と同じくらい克己と節制の、女から女に流れていくハルとは正反対の。
「夜中にいきなり人のチ××くわえんのがおまえの趣味か」
だったら、さっさと襲っておけばよかった。
ハルは着たままになっていたシャツを脱いでぽいっと投げ、ブルースの腕を掴んで引き寄せると、口付けしようとし、
ブルースは肩を竦めて避けた。
「しなくて良い」
「させろ」
顔を掴んで強引に唇を奪えば、不承不承ハルの背に腕を回すブルースに、ハルは笑う。
途端、下唇を噛んで引っ張られた。 ハルも噛みつくように応戦し、ブルースの内側を貪る。
夢中で舌が縺れ合い、息が乱れて、けれど何度でも唇は唇と出会う。
がっついてんな、と自分でも思う。
自分だけでないから、興奮する。
「ん……」
ガウンの合わせ目から手を入れて、一切の妥協も許さず鍛錬された身体を撫で下りる。
びくんとその身体が震えるのが愉しい。 感じやすい部分を全部暴きたくてガウンを脱がす。
イったばかりだったチ××がとっくに回復して、早く次が欲しくてブルースのとキスしてる。
「っハァ、」
息の切れたブルースが喘ぐ。
目許に淡い朱色が差し、いつもは無感動な瞳に光が潤み。
ハルの頭はくらり。
メーデー! メーデー!
何故だか分からないが目の前に宇宙一可愛い生き物が出現した!
「ハル、そこの一番下の引き出し……リングで無精をするな莫迦者」
「こっちのがスキンで、これが?」
一見すると香水のボトルのようなそれを眺めているうちに、ブルースはハルにコンドームを付け終えている。
こんな時でも仕事が早い。
そして、ハルの手からボトルを取って、蓋を開ける。
とろりとした液体がブルースの指に零れ、甘い匂いが広がった。
「甘っ」
「その方が喜ばれる」
粘性のあるローションを指に絡めながら澄ました顔でそんなことを言うので、ハルは噴き出した。
「あんだけ美人のねーちゃん達に囲まれてるくせに、おまえ死んだ魚の目してる時あるだろ」
「知らないのか、浮薄と倦怠は私達に染みついた文化的な病だ」
常に浮き名の絶えない大富豪は、しかし、軽く腰を浮かせ、しとどに濡らした指を後ろに回そうとしたところで、
笑みを浮かべてそれを眺めているハルと目が合い、落ち着かなげに眉を顰めた。
「じろじろ人の顔を見るな、大人しく寝ていろ」
「手伝いますけどー? 前に付き合ってた彼女に、そっちもして欲しいって頼まれたことあったし」
「……必要ない」
言い切ってブルースは睫毛を伏せ、小さく息をつく。
そのぬめる指で何をしているのかと思うと、ハルは後ろに回って覗いてやりたくなるのだが、
たぶん、だからこそブルースは向かい合わせで膝立ちになり、ハルの肩を掴んで支えにしているのだろう。
ハルとしては、その意志を尊重してやりたく思う。
が、目を瞑った、妙に真剣なブルースの面持ちに、“大人しく”はどだい無理。
その腰を掴み、引き締まった脇腹にきつく痕を残しながら唇で這い上がり、
本当に良く発達したおっぱい(大胸筋)に、軽く歯を立てる。
「っ……」
同性の胸をはむはむ甘噛みする面白さなど流石にハルも経験したことがなかったが、
弾力ある噛み応えと、ブルースが息を詰める気配に、心臓が踊る。
そこらじゅうに痕をつけ、きゅっと立ち上がった乳首を唇で食む。
「んぅっ」
感じるんだ。
という発見は、感動に近い。
「止めろ」
不機嫌そうに唸り、ブルースはハルの髪を掴んで引っ張る。
けれど、紅潮した頬。
吐息が震えて整わないのは、自分の指を自分の後孔に入れ、いやらしい音をさせて抽送しているから。
ハルの喉がごくりと鳴る。
「今何本入ってる?」
切羽詰まってるくせにのんびり聞くのは、単なる痩せ我慢だ。
全く、GLであるための資質などそんなものだとハルは思う。
目を伏せたブルースの、薄く開いた唇に言葉はない。
その綺麗に筋肉の張った太腿の、裏側をハルの掌は撫で上がり、指を伸ばす。
熱で溶けたローションで濡れそぼった後孔に、指先でそっと触れる。
「ハルッ」
ぎくりと硬直するブルースに軽いキスを繰り返しながら、ハルの指は優しく動き、
ブルースの指を二本くわえこんでいるそこに、ゆっくりと侵入する。
「や、ッ、……」
不安定な身体が崩れ落ちたがるのを、ブルースは片手をハルの肩について耐える。
喉奥に詰まった空気の塊を吐き出そうと開いた口が戦慄き、けれども声らしい声はほとんど洩れず、
熱い吐息がハルの耳元をくすぐる。
小さな震えが背筋を駆け下り、ハルは唇を噛んだ。
「たぶん、ここらへんだと思うんだけど」
窮屈な内部をそろそろと探る指で、一点を軽く押す。
切なげにブルースが息を飲み込んだのが、正解。
ずっと勃起したまま反り返った性器の先端から、透明な雫が滲んでいる。
「一回イくか? つらそーだし」
「余計な ことを、」
「人の善意は素直に受け取れよ」
ハルの手が触れた一瞬、短い悲鳴が上がり、呼吸を殺してブルースの身体がしなる。
構わずにハルは、ブルースの指と一緒に後ろを犯しながら、形の良い陰茎を一気に扱き立てる。
金持ちでハンサムでチ×チ×も格好良いとか、コイツどれだけ神に愛されているのか。
(が、裏の顔があれであるという一点で全てが帳消しになることを、ハルは理解してもいる。)
「っ、ぁ、ァ!」
偏屈な堅物と思っていた友人は、ハルが知る以上に女とも男とも遊んでいたようで、
けれど、相変わらずハルの言うことに簡単に頷かず、肌が粟立つほどセクシーな声で忌々しげに喘ぐ。
「ハル、……」
名前の後に続いた、聞き取れなかった言葉は多分、普段のお上品なブルースなら口にしない類のもので、
ハルはにんまりしてしまうのを止められず、ブルースの中に執拗に指を突き入れる。
大きく身震いして吐精した絶頂に、声はなかった。
がくんとブルースの膝が崩れ、その場に座り込む。
ただ荒い呼吸を繰り返す姿は無防備で、そんな状態が存在することをハルは初めて知った。
悪いこととは、思わないが。
ハルは、友人がしていたように手にかかった精液を舐めてみようとして、
億劫そうに顔を上げたブルースが喉奥で唸る。
「舐めるな」
指し示すのは、向こうの棚にあるティッシュの箱。
「ええー? 遠いだろー」
などと言いながら、またリングの力で取り寄せるハルの頭をブルースが殴った。
が、箱から数枚まとめて抜き取ると、ハルの手や腹にまで飛び散っていた自分の体液をごしごし拭き取る。
眉を顰めて難しい顔をしているのは、羞恥なのかどうか。
何か文句でも言いたそうに顔を上げたブルースの、その顔を掴んでハルは唇を塞ぐ。
舌を割り込ませ、ブルースのそれと絡み合う。
離れては、追いかけ合い、縺れ合う。
それ以外は全部、熱に溶けてしまった。
まるで溶鉱炉に投げ込まれたようで、ただそこにいるブルースを夢中でかき抱いた。
気付けば、両足を大きく開かせてその身体を自分の下に組み敷いている。
欲情した視界の真ん中で、ブルースが嗤う。
F*** me,please?
それから、たぶん、ハルは阿呆になってしまった。
意識が途切れてしまうまで、熱に浮かされたように友人とセックスしていた。
霞のかかった記憶は、切れ切れの断片はやけに鮮やかで、いつからコンドームをしてなかったのか覚えてないが、
四つん這いにさせて後ろから貫いた時、溢れて零れたのはローションじゃなかったことは覚えている。
そして、ブルースの身体で、ハルの触れなかった部分はないし、
ハルの手指や口や舌がなぞった箇所で、ブルースが悦ばなかったところはない。
明日世界が終わってしまうような、狂おしい一夜。
その翌朝、ハルは唐突に目覚めた。
目蓋を上げ、目だけを動かして窓を見れば、青空。
その澄んだ色彩をぼんやり眺め、それから、自分がどこにいるのか、何をしていたのか、少しずつ思い出す。
(既に陽は高く、窓のカーテンを開けたのが昨夜の自分なのか、それとも別人かは分からない。)
目を移せば、自分の隣に、眠る人。
広いベッドに、何故か小さく手足を丸め、シーツに包まれている身体は全裸。
昨日のことは、夢でないらしい。
そっと手を伸ばし、その目許に落ちかかる黒髪に指をかけようとして、止めた。
じきに目を覚ますような気がした。
ハルの思考は空気中を伝わったようで、ほどなく、ブルースの目蓋が小さく震える。
繊細な睫毛が持ち上がり、玻璃のような藍色が現れる。
その瞳にハルを映す。
「よぉ」
瞬間、ブルースはばね仕掛けのようにベッドの上に跳ね起きた。
裸のハルを見、自分の身体を見、周りを見回し、もう一度ハルに向けられる、大きく大きく見開いた瑠璃光。
ブルースの顔に表情が浮かぶこと自体が珍しく、ハルはけらけら笑った。
「おはようのキスぐらいしてくれてもいーんじゃねーの?」
驚愕さめやらぬ、といった様子のブルースは、身体がぎぎぎと錆びついたように傾ぎ、何故だか正座している。
ハルがずいっと近づくと、その分だけ後ろに仰け反り、繰り返すうちにベッドに背中が落ちる。
「……ハ ル、」
「うん」
その上に覆いかぶさったハルは、別に何を意図していたわけでないが、
まるでとんでもない大失態をやらかしたように狼狽しているブルースと、
その様子に、あっ、今チ××勃ちそう、と思ってる自分に対し、それは如何なものかと冷静に思った。
「ハ、ジョーダンッ」
「なんで言い直すんだよ」
「ジョーダン、良く聞け」
「聞いてる」
キスしようとする人間と、させまいとする人間の攻防は拮抗状態。
「昨日のことは、もののはずみだ、偶々だ!」
「はずみで人を襲ってんじゃねーよ」
「慙愧に堪えない事故だ。 さっさと忘れてしまえ」
「えー? 俺、男とは初めてだったのにー」
「だったら、」
「手ぇ出したのはおまえだろ」
ぐっと言葉を飲み込んだブルースの顔に一瞬、淡い朱色が差す。
実際のところ、その一時の気の迷いだか間違いに乗じ、そんな機会でもなければ一生
指一本触れなかったかもしれない友人の嬌態を楽しんだのは、ハルの方なのだが。
「責任、取ってくれるよな?」
自分が言われたら宇宙の果てまで逃げ出す台詞を、ハルは笑って口にする。
案の定、ブルースの顔が引き攣る。
戦闘ならどんな状況でも顔色一つ変えずリーグに適切な行動を指し示し、
ついでにハルに他の奴等の三倍以上文句を垂れるブルースが、今は表情も取り繕えないのが、無性に面白い。
「お、落ち着け。 私には四人の子供達がいる。 お前との結婚を彼等が認めてくれるはずがない!」
「おまえこそ落ち着け」
「アルフレッドに知られずに出来ることといえば、お前の好きな戦闘機を買ってやる程度だ」
「とりあえず今月の部屋代、貸してください」
「ジョーダン」
「ハル」
「全て忘れてくれないか」
「やだ」
「……私が悪かった」
「うん」
にんまり頷いたハルは、お利口さんの頭脳回路が白煙を上げてしまったブルースの、
唇に、頬に、眦に、柔らかなキスの雨。
責任などと言ってみたが、別段何を考えていたわけもなく、少しからかっただけだ。
ベッドから出ないまま、他愛無いことで構っていたい。
クリスマスの朝、一夜を過ごした相手を傍らに、ただ二人の温もりを感じて。
生涯根無し草のようなハルでも、その程度の情緒はわかる。
だが、凡そ一般的な情動とは無縁の男がここに一人。
彼の感情など、誰よりも彼自身が持て余す。
「……仕方ない」
溜め息まじり、ブルースはハルの顔にそっとふれる。
こめかみから首筋に、心地良く撫でていく指の感触に、ハルは目を細める。
ブルースの指先は頸椎へと滑り、
「私は、同じ人間とは二度とベッドを共にしない主義だ」
「はい?」
瞬間、首に衝撃を受けハルの意識は暗転した。
どれほど経ったのか、ハルが目を覚ました時、ベッドには自分一人しかいなかった。
耳を澄ませば屋敷は何事もなく静か。
窓の向こう、青空。
「え? 夢オチ?」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
思い出したら続き作ります。
実際はそんな遊んでないと思いますぼっさま。 めんどいから。 あと↑の主義により。
ほんとは思い余ってノンケを襲うブルース様の図、になるはずが、おう、こいつほんとにノンケか。
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