たいとる : 『THEのつく短文詰め合わせ』
ながさ :短い×3
だいたいどのあたり :アニメ『THE BATMAN』シーズン5最終話「Lost Heroes」
どんなおはなし :1と2は、バットモービルで移動してた蝙蝠・グリーンランタン・フラッシュの三人。 3は、終盤のGLと超人。
ふんいき :少年まんが的な……(嘘)。 バリーさんにごめんなさい。



*ここの管理人、吹き替えで見たことありませんよ。




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 1.名は体を表せ。

 目からヒートヴィジョンとか超光速移動とか出来なくなっちゃったんで、
 状況打開のため、とりあえず三つのグループに分かれてみた。
 そんなバットモービル内。




「ブルース」

ふと思いついたことがあって、隣の黒いのに聞いてみたら、
なんかすごく嫌そうな顔された。 傷つく。
すると、後ろのシートから朗らかに

「へー。 バッツってばブルースって名前だったんだ」
「あー。」
「バリー。 これはハルだ」
「バリーなのにバリーって言われた!」
「間違ってないな」
「秘密だったのに!」
「まったく他人事に聞こえないのが不思議だ。 ところで今さらっと俺のことまでバラしたろ」
「今更大した問題か。 ハル・ジョーダン」
「いや? おまえがブルース・ウェインである以上に大した問題でもない」
「ブルース? あのブルース・ウェイン !? あ、執事の人にまた遊び行くからって伝えといてv」
「適応速いなァ」







 2.僕等の四次元ポケット。

 なんて遊んでるうちに、そもそも何を言おうとしたのかも忘れて。
 こっちのパワーを奪ったアンドロイドと遭遇。 さくっと行動不能にしたのは良いけど、
 さあ次はどうしよう。



沈黙のダークナイトに、グリーンランタンは言った。

「実は考えてなかったんだろ」
「今考えているところだ」

けれども、声は静かに、低く言葉を続ける。

「どうすれば一番確実に、壊滅的に破壊出来るのか……」
「ちょっと待て」
「何だ」
「壊すんじゃないだろ。 奪われたパワーを取り返すんだろ!」
「ん? ああ、そうだったな」

その足元で、地面に転がっていた黄色塗れの物体が一度身動ぎした瞬間、
バットマンは無比の冷徹さでその頭部を踏み付け、黙らせた。
それは確かに、必要最低限の所作だったのだが、

「……なんだろう、踏まれてるのは俺のような気がする」
「安心しろ。 おまえの頭はそこにちゃんと付いている」

どこからか取り出したのはキラークロック用の手錠で、
ずしりとするそれをハルに渡す。

「それに、本物のグリーンランタンなら、こうも簡単にはいかないんだろう?」
「当然」

受け取ったそれで、無造作にロボットの両腕を後ろ手に拘束し、言い切る。
頭を踏み付けながら観察していたブルースは、ちらりと視線を上げた。

「その時は、今日よりも丁重に扱おう」

低く呟いた言葉を聞いたのは、目の前にいるハルだけだろう。
緩やかに弧を描く唇に目を留めたのも。
ハルは、片眉を軽く吊り上げると、顔をぐっと彼に近づけた。
笑いながら吐いた言葉は、やはり囁きのようで。

「そりゃ楽しみだね」


その様子を眺めていた赤いスピードスターには、こう見えた。

「え? 二人はなんでチューしそうな流れなの?」
「「違う」」












 3.一言

 そして空は覆われた。





照準を合わせる必要もないほど後から後から溢れて撃ち抜いて爆破連鎖する。
その間にも小惑星ほどの母艦から強襲機は吐き出され続ける。
蜂の大群にも似たそれが尽きる瞬間が果たして来るのかどうか、考えない。
雨のように降り注ぐビームの中、思考はただ、光の弾丸となって縦横無尽に宇宙を駆ける。
それでも、撃破しそこねた機体は、地球へと群がり降りてゆく。
それも今は、考えない。

「大丈夫だよ、きっと」

擦れ違ったクリプトニアンは、ゆったりと笑った。
そして赤い残像だけを残して駆け抜ける。 軌道上に次々と炸裂する爆炎が闇を束の間明るく照らす。
何が、とは聞かなかった。
光が虫食いのように暗くなる。
爆発に巻き込まれなかった機体の半数以上はひたすら降下を続けている。
その目指す先は。


(ハルは、行くと言った)
(影は一瞥も返さず、行けと答えた)



思考は、今は ただ。
貫き、撃ち砕き、散華する無限の光。

この宇宙のどこにも、恐怖など存在しない。



























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ごめんなさい。



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