『BATMAN : GOTHIC』 


AUTHOR : GRANT MORRISON
ARTIST : KLAUS JANSON

出版:2007年 (reprint)
掲載:LEGNEDS OF THE DARK KNIGHT#6-10 (1990年)




【大まかすぎる粗筋】


ゴッサムシティの裏社会で生きるギャング達が殺されていく。 彼等は20年前、結託して一人の男を殺していた。
20年後の今、その男が再び戻ってきて、彼等に一人ずつ復讐しているのだという。
一方、ブルース・ウェインは奇妙な夢を繰り返し見るようになっていた。
夢は、何かを伝えようとする彼の父親であり、少年期の彼の学校であり、子供のブルースと、死のイメージだった。
ギャング達は、殺されるよりはと、バットマンに助けを求める。
彼等を狙っているのは、20年前に8人の子供を殺した、影を持たない男 Mr.Whisperだった。
バットマンはその申し出を拒絶するが、ギャングの一人が殺されようとする場面に飛び込む。
そこにいたMr.Whisperは、少年だったブルースが学んだ学校の校長をしていた男だった。
しかし、Mr.Whisperは全く年を取っておらず、決して死なない。
男の正体を知るため、不可思議な手掛かりを頼りに、バットマンはオーストリアの、湖に沈んだ修道院を調べる。
その地は18世紀、ペストの猛威がヨーロッパを席巻していた頃、修道士達による凄惨な事件の起きた場所だった。
修道士の一人、かつて最も敬虔な信徒だった男は、魂と引き替えに悪魔と契約し、300年の命を得たという……。






【つれづれ雑感】

ハイ面白かったです。
これ一冊で読めますし、ドキドキするし怖ェ!とか思うしブルース坊ちゃまにツッコミいれまくったり。
えっと、まだロビンもいなかった頃という設定なのか、坊ちゃまがなんか健全というか清く正しくというか(比較的)。
校長先生にお仕置きとして背中ぶたれたり、ゴミ箱の中に友達の首があったり、もう色々な学校時代だったわりに、
まっとうにお育ちになったもんです。 蝙蝠だけどね。
校長先生というのが、↑のとおり300年生きてるんですが、契約満了につき地獄に堕ちそうなので、
代わりにゴッサム市民全殺しにして、その魂をサタンに捧げて許してもらおうかな、なんて考えてる人でして。
でも、ウェイン少年のことは好きなので、綺麗に死なせてあげよう、とか。(他は皆ペストまみれだよ)
嬉しくねェ!
確信がありますが、ブルース・ウェインという人はおかしなものに良く好かれると思います。
最後には悪魔からもギフトもらっちゃったしね!
で、その坊ちゃんが校長の正体を調べにオーストリアまで行くんですが、切っ掛けが、父親の夢とか、テープの誤作動とか。
……それ、一般には霊障って言うんじゃないでしょうか?
「If I can't trust my father, who can I trust?」
とか言ってますけど、それきっとお父さんじゃない……。 ということを、最終的には気づいてたんだと思いますけど、坊ちゃん。
そういうものでホイホイ出かけちゃう坊ちゃまを見ているこっちがドキドキです。
いや、それで正解だったから良いんですけどね。

そういえば、ゴハン食べてるシーンが多いような気がします、この本。
やっぱりゴハンいらない、て言っちゃうシーンも二度ほどあった。
珍しいなと思ったのは、アルフレッドがものを食べているところです。
こう、二人がもぐもぐサンドウィッチ食べながら相談してるんだけど、ゴハン向きの会話でもない気がする。
あと、別の本でもあったんですが。
ボロボロになった蝙蝠がアルフレッドに回収を頼むんですけど、バンドエイドも持ってきて、て言うんですよ。
ウン、でも明らかにバンドエイドでどうにかなる傷じゃない!
これ、何なのかなあ。
バンドエイドでどうにかなればいいと思ってるのかな。
それとも、あんまり心配かけたくないけど怪我しちゃったよということを一応伝えてるのかな。
どちらにしろ、アルフレッドが見たら一発ですよ、この坊ちゃんッ。

悪魔と、幽霊と、魔術と、死体ありあり。
しかし、まとまりのよい、読みやすい一冊でした。




(個人的メモ)

・坊ちゃんの寝室のベッドは窓側。 何か着て寝てた様子はないよ。 でもカーテン閉まってる。
 比較:BATMAN AND SONだと完全にカーテン開いてる、何故か。 あんまり起きないから開けられたのかもしれない。
 坊ちゃんの寝姿がそんなに重要かって? 無論です!
・坊ちゃんは夕方以降、アルコールを取る気配がない。 でもあれ何だろう。 炭酸?
・校長がゴッサムに着いたのが1760年。 大聖堂が建てられたのが1790年。
・赤い薔薇と黒死病



(2010年3月)

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