『JLA : ROCK OF AGES』 (JLA 3)


WRITER : GRANT MORRISON
PENCILLERS : HOWARD PORTER / GARY FRANK / OSCAR JIMENEZ / GREG LAND

出版:1998年
掲載:JLA 10-15 (1997-1998年)



【JLAメンバー】
スーパーマン バットマン ワンダーウーマン
フラッシュ(ウォーリー) グリーンランタン(カイル) アクアマン ジョン・ジョーンズ
グリーンアロー(コナー) アズテック



【大まかすぎる粗筋】

スターシティをJLAの贋物「REVENGE SQUAD」が襲撃する。
その裏には、レックス・ルーサーの指揮する「THE INJUSTICE GANG」がいた。
ルーサーの手の中には、不思議な赤い石があった。

「REVENGE SQUAD」の二度目の襲撃により、JLAは攻勢に転ずる。
しかし、それもルーサーも思惑どおりで、スーパーマンとジョン・ジョーンズが罠にはまる。
その事に気づかない残りのJLAメンバーの元に、ニュージェネシスの神METRONが現れる。
宇宙で最も強力な存在の一つである「賢者の石」を、アポカリプスの神DARKSEIDが手に入れる前に探し出さねばならない。
賢者の石は、この宇宙の時間と空間を自在に変えてしまうらしい。
その言葉に、フラッシュとアクアマン、そして成り行きでグリーンランタンが賢者の石探索に出る。
しかし、三人はバラバラに次元を超えて飛ばされてしまった。

スーパーマンとジョン・ジョーンズは、ジョーカーの脳が生み出した迷宮ごと爆破されたが、
その場を切り抜けた二人は、ルーサーの元に乗り込むためにバットマンと合流する。
月面のウォッチタワーでは、アズテックが一人で留守を預かっていた。
ルーサーは、そのウォッチタワーの内部に12基の核ミサイルをテレポートさせた。

バラバラに彷徨っていたグリーンランタン、フラッシュ、アクアマンは、あらゆるものが巨大な世界に辿り着いた。
その世界のヒーロー達の協力により、もう一度時間と空間を越えて元の地球に戻るはずだった。
しかし、三人が辿り着いた地球は、15年後の未来だった。
それは、15年前「THE INJUSTICE GANG」の事件でルーサーが持っていた賢者の石をJLAが壊した結果の、未来だった。
事件の後、地球に降りたダークサイドが世界を支配するのを止められる存在は無かった。
荒廃した未来を変えるためにも、三人と15年後のJLAメンバーはダークサイドと対決しなければならない。
そして、何としても三人を15年前のその日に戻さねばならなかった。





【つれづれ雑感】

ぅ面白かった!
んですけど、あれ? これって『FINAL CRISIS』……。
『JLA 3』が1998年で、『FINAL CRISIS』が出たのが2009年で、ライターが同じモリソンさんで……。
この二冊、蝙蝠周りの展開が本当に重なるので、モリソンさんはいったい何年前からアレをやる気だったんでしょうか。

で、何故か↑あらすじを書くと蝙蝠にほとんど触れてないんですが、実際重要なポジションなのですよ。
現在の蝙蝠も、敵側のミラーマスターとさっくり取引してたり、裏で色々画策してました。
あと、ティムがいた!
ティムの文法のちっちゃなとこを直すブルース様が、うん、お父さんだ!
そして15年後未来の蝙蝠様が……。
未来の飛ばされたカイル君とフラッシュと海王様は、それぞれ15年後の自分になってしまうのですよ。
カイル君はゾンビトルーパーになってて、フラッシュはもう走れない。
年を取った海の王者は、かっこよかった……。
そんな海の王者と蝙蝠様の別れ際が、ぐっと来ました。
もう、15年後未来の地球なんて、あとは終わるだけの世界なんですよ。 ホントに終末ですよ。
なんだけど、このJLAメンバーが、かっこいいんだ……。
WWと蝙蝠の最期とか、緑矢とレイさんとか!
15年後のコナーなんて、顔が本当に父親そっくりですよ。
蝙蝠は、15年経っても、すごく蝙蝠でした。

そういえば、15年後未来で、カイル君はブルース様の声を聞いて「バットマン?」と言ってたんですけど、
この時はまだ正体を知らなかったの?
ちなみにブルース様は髪が真っ白になってました。

で、カイル君。
この本で初めて蝙蝠がカイル君のことを誉めていて、思わずヤッター!と万歳したくなりました、私が。
カイル君、誉められてホントに嬉しそうなんですけどね、なんか誉められ慣れてない様子なのね。
くっ、可愛いな!
そんなカイル君と蝙蝠の様子を、超人と海の王者が温かく見守っているという……。
これ何のコミックだ。
うん、でも、まともにこの二人が遣り取りするのって、JLAだともしかしてこの巻が初めて?
そのせいとは言いませんけど、前よりカイル君がアグレッシブになってきた気がします。
超人は、それをちょっと心配してるんだけど、ジョンジョンは「カイルもフラッシュも彼等自身が思っているよりずっと良いんだよ」って。
お父さん達!
その後で、カイル君がCirceとかいうおねいさんに、「JLAの"父親代わり"達を喜ばせるために頑張ってるのね」的なことを
ちくちく言われてるのが興味深かったです。
カイル君はどういう家庭で育ったの? お父さんがいなくなったって言われてるけど。

このシーン、カイル君とコナーが日頃のストレスを愚痴ってて、そこにCirceがやって来て、
コナーは彼女に付いていってルーサーのとこに行っちゃうんですけど。
後のことから考えると、コナーがついていったこと自体、蝙蝠の指示だったみたいで。
でも、その傍にいたカイル君の態度は素だったというか、彼は何も聞かされてなかったんですよね。
……あれ? なんで?
コナーの方が上手くスパイとかやれそう、ってのはありますけど、間違ってカイル君までCirceが釣っちゃったらどうするの。
ってことは、カイル君はそんなのに誘われないと蝙蝠は考えてたの?
どうしよう、蝙蝠から信頼されてるよカイル君!
……と、思っておくことにしましょう。
最後、お疲れの様子なコナーを励ますカイル君が、良い子だ。

超人は、だいたいずっとジョンジョンと一緒でした。
J王子作の迷宮でヘロヘロになったり、ジョンジョンにお手手繋いでもらったり。
必要にかられてジョンジョンが自分の脳をJ王子化させるんですが、後に影響しないか心配したくなります。
ちなみに、ジョンジョンの力を以ってしてもJ王子を完全に正気にすることは不可能だそうです。
あと、超人とジョンジョンが蝙蝠と合流して、これから直接ルーサーのとこにテレポートするよ、って時に。
超人が笑顔で「このテレポーターって安全?」とか聞くんですよ。
くっ、笑顔! 超余裕! ヘロヘロだったのに!
そういえば、超人が蝙蝠の前でふざけたの、JLA本で初めて見たような気がします。
蝙蝠は、テレポーターを作ったのは自分だから当然だ、って真面目に答えてましたけどね。

ルーサーが、素敵なルーサーでした。
そして、蝙蝠は緑矢一族が好きなんだねとしみじみ思った一冊でした。




(2009年12月)

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