『BATMAN R.I.P』

WRITER : GRANT MORRISON
PENCILER : TONY S.DANIEL / LEE GARBETT

出版:2009年
掲載:DC UNIVERSE #0 BATMAN 676-683 (2008年)



*『BATMAN AND SON』と『BATMAN BLACK GLOVE』を先に御覧になることをお勧めします。
 完全に話が繋がってますので。






<大まかすぎるあらすじ>

『R.I.P』
Dr.ハートはバットマンの精神内に爆弾を仕掛けておいた。
バットマンは行動不能にされ、バットケイブを襲撃され、恋人ジザベルがさらわれる。
彼の協力者であるアルフレッド、ナイトウィング、ロビン等にもブラックグローブは迫っていた。
その一方で、錯乱して自我を失ったはずのブルースの精神から、もう一人のバットマンが出現した。
再び動き出したバットマンは、恋人を救うためにアーカムアサイラムに急ぐ。
そこで彼を待っていたのは、ジョーカーだった……。


『Last Rites』
ブルースとアルフレッドは問答をしている。
それはバットマンの軌跡をたどる物語だったが、夢のように奇妙に歪んでもいた。
これは誰の物語で誰の夢なのか。
やがて、夢を見る者と、夢を操る者と、そこから搾取している者達が明らかになる。

そして、アルフレッドは独り、帰らぬ主人を待っていた……。








<私的雑感>

『R.I.P』からいきますー。
ブラックグローブ、ジザベル・ジェット関係の解決編でしたね。
ただ、Dr.ハートについては未だ良く分からないことも多いです。
モリソンさん曰く、ブラックグローブ関係のキャラはまた書くかも、らしいので、もしかしたら再登場ありなんでしょうか。
で。
「When did I first suspect she was part of the trap?」
「"I want you to Know I understand," she said.」
「I think it was then.」
とか言われてる彼女ですが、この「"I want〜」は『BATMAN AND SON』にある台詞なので、
かるーく2年ほど前から彼女は疑われていたようです。(SONの発行が07年、RIPが09年)
すると、蝙蝠様のあれとかあれとかあれとか、みんな演技だったのね! と思うと
むしろその警戒心の強さに涙を誘われるレベルです。
ついでに「ZUR-EN-ARRH」の落書きも『BATMAN AND SON』の頃からありましたね。
一体いつからこのネタ仕込まれてるの!

結局、ジェットをバットケイブに入れたことから蝙蝠様の罠だったということで、
ホントこの人ったら何考えてるの! と心配になります。
自己犠牲というか、徹底的に自分のことは考えない人ですね。


そして王子!
道化王子様が素敵でした。 マニキュアの台詞が好き。
アーカムアサイラムでの「now do you get it?」は、色んな解釈がされてるようですが。
この本全体が、わりとどうとでも解釈できてしまうので、私の好きなように読んでみますと。
直後の蝙蝠様が笑いながら「RED AND BLACK-- FLOOR TILES...」と言ってるので。
本の一番最初で王子が見せた赤黒A8のデッドマンズハンドの意味は、本当に、床の色でしかなくって。
そんなもののために、あのデッドマンズハンドの意味は何だろうって色々ぐるぐる考えてしまう蝙蝠様自体が、
この世で最高のジョークだよね。
そんな意味での「now do you get it?」なら、良いなァと個人的に思っておくことにします。
うん、もしそうならブラックグローブを完全に置いてけぼりですね。

私、デッドマンズハンドがポーカーのツーペアということを初めて知りました。

で、王子がDr.ハートに言う台詞がまた、蝙蝠大好き感溢れてて良い。
「you can never prepare for the unexpected,the well-timed punch line」
「the wild card」
「devil is double is deuce,my dear doctor. and joker trumps deuce.」
これから蝙蝠が来るよ! ってうきうきしてますね。
ジョーカー王子は、いつもどこまでこの人分かってるんだろう、と思うわけですが。
そんな王子にとってのジョーカーは蝙蝠様なんでしょうかね。

Dr.ハートについては良く分かりませんが。
あれはやっぱりトーマス・ウェインじゃなくて、ジョン・メイヒューの妻殺しで投獄された俳優、なんでしょうか?
わざわざトーマスパパの振りをするのは、蝙蝠様の大切なものを汚したいから、とか。
個人的に、Dr.ハートについて一番許せないことは、蝙蝠様を棺桶に入れて埋めた時に
「buried alive in his best cape.」
とか言ってて意識のない蝙蝠様をわざわざ着替えさせてるわけですが、(着替えは二度目)
そん時に彼の無精ひげを剃っちゃったことです。
な、なんということを……ッ!!
本が手元にある方は御確認ください。 明らかにヒゲがなくなってませんか?
ううぅ、意識ないと思って好き勝手やっちゃダメ! 無精ひげのロマンを解さない人はもう出てこなくていいです!

ティムは今日も良く出来たお子さんでした。 ちょっとダミアンのことは引き摺ってるけど!
新しいバットモービルが完成してドライブしてる間、ぷちぷち文句言ってるお父さんが好きです。
でも、休んだほうが良いっていうティムの意見は聞いたんですね。
4分間死んでたのは『BATMAN BLACK GLOVE』の話です。



次、『Last Rites』いきまーす。
この話はたぶん、後の『FINAL CRISIS』の方に収録されるべきものだと思うわけですが。
たしかにDr.ハートのヘリが墜落したことにちらっと触れてますけど、直接関係してるのは『FINAL CRISIS』ですし。

で。
要は、ダークサイド側が蝙蝠様をベースにした兵士を作ろうとして、そのために彼の記憶と精神から
蝙蝠様を動かす動機を盗み取って、クローン体達に移植しようとしてたんだけど。
実際に彼のトラウマをクローン体に移植したら、その重圧に堪えきれずにクローンが発狂したという。
ざまぁみろ!
ていうか蝙蝠様のトラウマってどんなレベルなのよ!って話ですね。
ランプに銃口を向ける蝙蝠様は、『BLACK GLOVE』でジョー・チルに銃を渡したのを思い出しました。
と思ったら、『INFINIT CRISIS』から来てるんですかね。


もし両親が生きてたら、ブルース様もお医者さんになってたんでしょうか。




(2009年5月)

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